「ライトウエイトスポーツカー」、この響きだけで「運転が楽しいクルマ」と想像できる。近年このカテゴリーに当てはまるクルマは減ってしまったが、現代でもまだそれを味わえるクルマが存在する。今回は50年以上運転を楽しんでいる、こもだきよし氏が2台を試乗してその魅力を確かめた。(Motor Magazine 2022年9月号より)

初代登場が衝撃を与えた、進化し続けるロードスター

ライトウエイトスポーツカーの歴史を振り返ろうとすれば、このページを全部埋めてしまいそうなので今回は省略するが、筆者が運転免許を取得した50年以上前でも運転好きなドライバーが憧れるライトウエイトスポーツカーは街中で見かけることができた。

それはMGのMGB、ミジェット、ロータスはエランやセブンなどがメジャーだった時代だ。大学生の時、駐車場でアルバイトしていた友人がお客さんのロータスヨーロッパを運転したと自慢していたことを思い出す。モーガンもたまに出会うことがあったが、これらはすべてイギリス車だった。

日本車ではトヨタ スポーツ800やホンダ S800があった。トヨタ スポーツ800は1965年に発売、ホンダS800は1966年からだが、S500は1963年から、S600は1964年から発売していたので1960年代は2シーターのライトウエイトスポーツカーがトヨタとホンダから販売されていたのだ。

日産は「Z」になる前のフェアレディを1962年から販売し、後席横向きの3座席から1964年に普通の2座席になった。つまり50年前でも日本の市場には輸入車、国産車のライトウエイトスポーツカーが揃っていたのだ。

画像: 1960年代は魅力的なライトウエイトスポーツカーが揃っていた。

1960年代は魅力的なライトウエイトスポーツカーが揃っていた。

そして1989年、世界の自動車メーカーに衝撃を与えたのがマツダ ロードスターの登場だ。当時は販売チャネルの名前がついてユーノスロードスター(アメリカではMX-5ミアータ、その他の市場MX-5)としてデビューした。

ロードスターは1960年代のライトウエイトオープンスポーツカーの再来(マツダもそれを狙った)として世界中で受け入れられ、2人乗り小型オープンスポーツカー部門としては異例の大ヒットなり、それが今も継続している。

初代はNAと呼ばれ、1998年にはNB、2005年からNCとなり、2015年に現在のNDへと進化しているが、それぞれの世代で基本のライトウエイトスポーツカーの原点からまったくブレていない。むしろ究極のハンドリングマシンとして、フロントエンジン、後輪駆動、前後輪荷重配分50:50、そして軽量化を進めている。

徹底しているのは無理やりエンジンパワーを上げていないことだ。これはとても重要で、ロードスターが長く人気を保っているポイントではないかと考える。1999年にホンダ S2000がエンジンパワーをアピールして登場したが10年でその幕を閉じた。

BMW Z3は1996年に登場し、2003年にはZ4へと進化したが、ライトウエイトスポーツカーから高級スポーツカーへと移っていった。ライトウエイトスポーツカーを続けるのは意外と大変なのかもしれない。

そんなことを思い浮かべながら改めて今回のマツダ ロードスター990Sに乗ってみた。

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