カテゴリーの中でも小さなサイズを意識
去る2009年9月のフランクフルト国際モーターショーで披露された2代目C3。このモデルで見逃せないポイントは、「大きさを売りものにしない」ということだろう。
全長×全幅サイズは3944×1708mm。従来型よりも多少成長したし、日本では3ナンバー規格へと踏み込んでしまうのでイメージ的には損な部分もありそうだが、それでもコンパクトであることに変わりない。
実際、シトロエンではこの新型を「カテゴリーの中でも意識的に小さなサイズを狙った」と述べている。ドイツ車を中心にモデルチェンジを経るごとに肥大化が進むことへのアンチテーゼが込められたのが、この新型のデザインの基本と言っても良さそうだ。
同時に、フロントシートに座るパッセンジャーの後頭部にまで伸びた「ゼニス(=天頂)ウインドスクリーン」が大きな売り物だが、いざ乗り込んでみると、外観から察する以上に光溢れる空間が提供されることにあらためて驚いた。
「金魚鉢の中から外を覗いたような」というのは、C4ピカソの印象を語る際に私が用いたフレーズだが、このモデルでの感覚もそれに近い。夏の強い日差しの下での防御対策が心配になるという人もいるかもしれないが、ここもC4ピカソの場合と同様、サンバイザーを組み込んだルーフライニングをスライド式に前進させる工夫が盛り込まれているので、いざとなればごく一般的なクルマと同等のサンプロテクトが可能となっている。
インテリアを中心にクオリティが大幅に向上したのもニュース。とくに、ダッシュボード周りの質感アップは著しいし、ハンドルやドアグリップなど、手を触れる部分のクオリティ向上も見違えるほどだ。デジタル式スピードメーターをメインとした従来型に比べ、3連丸型が基調となる新型のメーターは妙にスポーティなスタンスを強めたが、ここにはダッシュボードを共有するブランニューモデルである「DS3」との絡みの事情もあるはずだ。
コンパクトなサイズの中に大人4名にとって必要十分なキャビン空間を実現させたのはなかなか巧みな部分。ホイールベースは従来と変わらないもののシートバック背面や下部の造形が工夫され、後席での足先やニースペースがグンと改善されているのだ。ラゲッジスペースも床面積は決して大きくないものの深さはかなりあるので、実際にはかなり多くのものを積めそうだ。