「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、ポルシェ 911だ。

ポルシェ 911(2011年:7代目フルモデルチェンジ)

画像: パッと見には従来型とあまり変わらないスタイリングだが、全長は56mm、ホイールベースは100mm延長されている。

パッと見には従来型とあまり変わらないスタイリングだが、全長は56mm、ホイールベースは100mm延長されている。

コードネーム991型となった7代目のポルシェ 911は、パッと見には先代の997型とあまり変わっていないように見える。まずは「どんなアングルからでも911に見えること」が意識され、独特のプロポーションを表現するために改めて注意深くデザインされたという。だが997型より全長56mm、ホイールベースは100mmも伸びているのだ。にもかかわらず、「どこが変わったの!?」と思わせるほどに強いイメージが感じられるのは、ある意味それだけ高度なデザイン手法が採られている証明といってもよいのではないだろうか。

一方、伝統的な5連メーターやドア側にレイアウトされたキーシリンダーなどから、いかにも911らしい雰囲気がアピールされつつも、インテリア全体のイメージが明らかに新しく感じられるのは、コンソールまわりのデザインが完全にリファインされているからだ。ダッシュボード中央のセンターパネル部分から後方に向かうに従ってなだらかな下り坂を描くというその部分のモチーフは、パナメーラのそれと同様に「カレラGTのデザインにヒントを得た」と称される。それはパーキングブレーキが電動化され、グリップバーが廃されたことによって成立したものでもある。

こうして、すべてが新しいのは、見た目のデザインに留まらない。いや、それどころか今度の911の中身というのは「これまでの911の48年間の歴史(編集部註:2011年現在)の中にあって、ここまで自由に白紙からの開発が許されたことはなかった」と表現されるほど、完全に刷新されている。

その新しさをまず象徴するのは、半分はアルミ製と称される完全新設計のボディだ。フロントセクションの大部分をアルミ製とするなどの適材適所の思想が徹底された結果、従来の997型用ボディ比で実に80kgもの軽量化を実現させている。車両重量が1.4トンそこそこに収まり、ベースグレードであるカレラ クーペのDCT(PDK)仕様で欧州測定モードのCO2排出量をわずか194g/kmに留めることに成功したという背景にも、こうした軽量化への努力が大きく効いているのは言うまでもない。そんな新ボディを筆頭に、シャシもサスペンションも装備も、すべてが新しくなっているのが、新型911の中身ということになる。

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