かたや輸入車SUVとしては珍しい最大7人乗り、かたやブランドラインナップのボトムレンジに位置するコンパクトさがウリ。だがひとたび鞭を入れたなら、前後2モーターで4輪駆動化されたこの2台はどちらも、驚愕のパフォーマンスを見せつけてくれる。「日常」というオブラートに包まれた「非日常」の刺激は、一度味わうと病みつきになること間違いなし。

サイズからは想像できない「上級感」【XC40リチャージ】

EQBからXC40 リチャージ アルティメット ツインモーターに乗り換えると、走り出した瞬間は軽く面食らうかもしれない。ブレーキペダルを放してもクリープはしないし、そこから踏み込んだアクセルペダルの、ずっしりとした踏みごたえに驚かされる。

画像: XC40リチャージの乗り味は、軽快感よりも重厚感が際立つ。コンパクトだがマッシブなルックスにマッチした、上級志向の走りだ。

XC40リチャージの乗り味は、軽快感よりも重厚感が際立つ。コンパクトだがマッシブなルックスにマッチした、上級志向の走りだ。

だがその重さに慣れてくると、今度はいかにも頼りがいのある踏み心地へと変わっていくから不思議だ。実際、取材中に何度クルマを乗り換えても違和感はほんのわずかな間に消え、いつの間にか「適度な踏みごたえ」にクルマとの強い一体感を覚えていたのだった。

ワンペダルコントロールのメリハリの利いたレスポンスも、慣れてくるととても楽しい。ラフなアクセルペダルの操作では、ギクシャクしがちなところはある意味、運転のうまい下手が如実にわかる「通」なセッティングとも言える。回生力そのものも比較的強めなので、一般道ではほぼブレーキを踏むことなくキビキビと走らせることができた。

一方ですべての「重さ」は、コンパクトな塊としてのたたずまいから想像される以上の「上級感」溢れる乗り味まで演出してくれる。高性能な電気モーターを前後アクスルに搭載するレイアウトは、いい意味での重厚感へとつながっているように思えた。

車検証上の前後重量配分を見ると、ツインモーター仕様はほぼ50対50(シングルモーターも過度にフロントヘビーではかった)。サイズにしては大きな20インチタイヤをしっかり履きこなし、荒れた路面でもへたれたところは微塵も感じさせない。もちろんやや硬さは伝えてくるものの、黙って乗っていたら上級サルーン並みの落ち着き感を味わうことができる。

画像: ボルボラインナップとしては「エントリー」クラスではあるものの、XC40リチャージのインテリアは素材感から非常に上質な印象を醸し出している。

ボルボラインナップとしては「エントリー」クラスではあるものの、XC40リチャージのインテリアは素材感から非常に上質な印象を醸し出している。

さらにEQB3 350でのけぞってしまったETCゲートでのダッシュ力はどうか?そちらも、多くを語る必要はもはやないだろう。なにしろ、モーターふたつが発生するシステム総合出力は409ps!総合トルクは実に660Nmに達する。もはや本気でAMG A45に挑んでみたくなるスペックなのだ。その加速感は、数値から想像されるとおりに強烈なものとなる。

ちなみにフル加速時の駆動配分も絶妙で、しっかり上級グレードらしさを感じさせてくれる安定感に満ちていた。XC40には弟分の「リチャージプラス シングルモーター」が設定されているが(こちらは231ps/330Nmを発生するシングルモーターの前輪駆動)、乗り味はややラフな印象がある。こと「グレード感」を考えるなら断然、2モーターのAWDがおススメだ(シングルモーターの試乗はC40リチャージ プラス シングルモーターで実施)。

リサイクル素材を使いつつしっかり上質感を演出しているインテリアのさりげなくスマートな設えなど、派手さはないけれどしっかり「いいもの」であることは感じられる。その上での爆速ぶりもまたある意味、「ボルボらしい」と言えば、らしい。

もう少しわかりやすくスポーティ感やオシャレな雰囲気をアピールしたいなら、キュートかつスポーティなヒップラインが魅力的なC40リチャージ アルティメット ツインモーターという選択もありだろう。

画像: スポーティかつ上質なハッチバックモデルとしてC40は、非常に魅力的なスタイルを持つ(写真は、取材に同行したC40 リチャージプラス シングルモーター)。

スポーティかつ上質なハッチバックモデルとしてC40は、非常に魅力的なスタイルを持つ(写真は、取材に同行したC40 リチャージプラス シングルモーター)。

このカテゴリーのクルマ選びが俄然、面白くなっていた

それにしても最近増殖しつつあるフルバッテリーEVという乗り物は、どれもそれぞれに走り味が個性的だ。平和なペースで漫然と走らせていても、アクセルペダルのオンオフに対するツキや回生フィールの味付けは異なるし、いざ元気よく走らせようと思った時のフル加速時に体感される高揚感にも、モデルごとに個性がある。

とくに今回の2台からは、車格や価格帯をもとにしたヒエラルキーに左右されない新鮮な電動化の魅力を、それぞれのブランド「らしさ」とともに感じることができるように思えた。というわけで、どちらにも素直にときめいてしまった次第。商売っ気は抜きで、もう一度じっくり乗りたいと思っている。

BEV選びは、いつの間にやらずいぶんと面白いことになっていたのだった。(写真:永元秀和/Webモーターマガジン編集部)

画像: 充電性能がより高い充電インフラなど、日本におけるBEV普及を巡る課題は少しずつ解決されつつある。電気自動車という存在はこれからますます身近になっていくことだろう。

充電性能がより高い充電インフラなど、日本におけるBEV普及を巡る課題は少しずつ解決されつつある。電気自動車という存在はこれからますます身近になっていくことだろう。

■メルセデスEQ EQB 350 4マティック主要諸元

●全長×全幅×全高:4685×1835×1705mm
●ホイールベース:2830mm
●車両重量:2160kg
●モーター:フロント交流誘導電動機、リア交流同期電動機
●システム最高出力:215kW(292ps)
●システム最大トルク:520Nm
●バッテリー総電力量:66.5kWh
●一充電走行距離:468km
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:235/55R18
●車両価格(税込):870万円

■ボルボ XC40リチャージ アルティメット ツインモーター 主要諸元

●全長×全幅×全高:4440×1875×1650mm
●ホイールベース:2700mm
●車両重量:2150kg
●モーター:交流同期電動機×2
●モーター最高出力:300kW(408ps)/4350-13900rpm(前・後 同数値)
●モーター最大トルク:660Nm/0-4350rpm(前・後 同数値)
●バッテリー総電力量:78kWh
●WLTCモード航続距離:484km
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:前235/45R20・後255/40R20
●車両価格(税込):679万円

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