PHEVの良さを味わえるリニアで力強い加速フィール
「ボルボ XC60リチャージアル ティメット T6 AWD プラグインハイブリッド」のライバルとして、「レクサス NX 450h+」と「BMW X3 xDrive 20d」を取り上げ、改めてPHEVの魅力、ブランドの魅力や特徴を掘り下げてみたい。奇しくもこの3ブランドは、2022年現在、プレミアムブランドの電気自動車&PHEVの日本におけるマーケットシェアトップ3を占めるブランドとなっている。
まずは「レクサス NX 450h+」から。NXは、2021年春に発売されたニューモデルだが、単にモデルチェンジされた2代目モデルというだけでなく、このNXを皮切りにレクサスのネクストチャプターの幕開けになる重要なモデルでもある。
そして、NX 450h+は、レクサス初のPHEVとなる。モデルラインナップは、ガソリンエンジンを搭載する「NX 250」「NX 350」、ハイブリッドの「NX 350h」、そしてPHEVの「NX 450h+」は最上級グレードに位置する。
2.5L直列4気筒エンジンは、最高出力135kW(185ps)/6000rpm、最大トルク228Nm/3600-3700rpm。搭載されるリチウムイオンバッテリーは18.1kWhを備え、フロントモーターは134kW(182ps)/270Nm、リアモーターは、40kW(54ps)/121Nmで、システム出力は225kw(306ps)となっている。トランスミッションはCVT、駆動方式は、リヤアクスルをモーター駆動するAWD「E-Four」。「EVモード」「オートEV・HVモード」「HVモード」「チャージモード」を備える。
今でこそ、RXやNXといったSUVが屋台骨となっているが、もともとレクサスは、IS/GS/LSといったセダンを作り続けてきた。そんなレクサスブランドのコアバリューは「静粛性と乗り心地の良さ」という「快適性の高さ」だ。
そして、セダンで築き上げられたコアバリューはSUVにも受け継がれている。NX 450h+では、当然、スポーティなFSPORTよりもラグジュアリーグレードのバージョンLの方がよりそのキャラクターが強い。リヤのバルクヘッドを持たず、キャビンが独立していないボディ形状をはじめ、開発においてセダンより厳しい条件は多々あるが、それにも関わらず、乗った瞬間、納得のクオリティを継承している。
そして、パワートレーンもデビューしたばかりの最新スペックだけあり、滑らかでパワフルな動力性能だ。モーターでの走りがメインだが、HVモードでアクセルを踏み込むとエンジンも加わったパワフルな加速となり、その際の、車速の上昇に伴ってエンジン回転数が上昇するリニアで力強い加速フィールが気持ち良い。エンジンの存在感もちゃんと味わえるチューニングとなっているのが良い。XC60リチャージに続き、PHEVの良さを味わうこととなった。
細かなアップデートで最新モデルと変わらぬ仕様に
ところで、ボルボXC60リチャージがデビューしたのは2016年。6年前であり、これは通常のクルマのモデルサイクルに当たる。しかし実際には、レクサスの最新モデルと互角のパフォーマンスであることがわかる。もちろん、パワートレーンを一新しているが、たとえばバッテリー容量もNXが18.1kWhでXC60が18.8kWh、EVモードによる走行距離も約80km前後と互角。
システム最高出力もNXが227kW(309ps)対してXC60(350ps)とパワフルな走りも負けていない。そしていずれも、プレミアムブランドらしい上質な走りが味わえる。
一方、中身が新しくなっても、デザインが・・・、という点に関しても、そもそもXC60はスウェーデンブランドらしい、シンプル&クリーンなスカンジナビアンデザインを採用しており、オリジナリ
ティが高く、飽きのこないデザインとなっている。
さらにこちらも、モデルサイクルの中で変更されている。また、欧州車は敢えて変更と謳うことなくモデルイヤー毎にサスペンションセッティングなど改良されている点も多々あり、常にブラッシュアップが図られているので発売から時間が経っても古さを感じないという側面もある。
さて、もう1台の比較車両は、BMW「X3 xDrive 20d」。ちなみに、X3のラインナップは、ガソリンエンジンを搭載する「X3 xDrive 20i」「X3 M40i」、ディーゼルエンジン搭載の「X3 xDrive 20d」
「X3 M40d」、そして、プラグインハイブリッドモデル「X3 xDrive 30e」となる。
搭載されるエンジンは、直列4気筒DOHCディーゼルで、最高出力140kW(190ps)/4000rpm、最大トルク400Nm/1750ー2500rpmとなっている。車両価格は741万円で、パワーも価格も横比較するには条件が違い過ぎる。
価格での比較となると、X3 M40d(931万円)だが、試乗車の事情などに因るところもあるだ
ろう。PHEVではなく、あえてディーゼルを選んだということで、パワートレーンについてはディー
ゼルに特化して話を進めたい。
運転席に座り、スタートボタンを押した瞬間のブルっとくる振動。エンジンに「火が入った」「儀式」で、スタート準備完了、あるいは、スポーツカーだとクルマとともにドライバーのテンションも一段上がる合図のようなものだが、スタートボタンを押してもReadyが点灯するだけのクルマが多い昨今、この儀式も近い将来なくなるのかもしれない。
そして、運転席に座って見回した時に、物理スイッチの多さに若干「古さ」を感じる。最近は、モニター内に集約され、必要最小限のものが残される傾向にある。ただし、BMWの名誉のために言っておくと、最新の電動化モデルのコックピットデザインはまったく異なるものへと進化している。電動化は動力源だけでなく、インターフェースをはじめいろんなもの、ことが革新的に変化、進化しているのだ。