さまざまな電動化の選択肢から選んだのは・・・
1997年、ラテン語で「開拓者」の意味を持つ車名を与えられた世界初の量産ハイブリッド車「プリウス」が発売された。
当初はエンジン車とは異なる独特の走行フィールに違和感をおぼえたが、代を重ねるごとに進化し、今やハイブリッド車(以下、HV)でもスポーツドライビングを楽しめる時代になった。そう、初代プリウスが登場してから、もう四半世紀となる25年も経ったのだ。
その間に、トヨタだけでなく日本はもちろん世界中のメーカーもHVをラインナップするようになった。もはや、HVは珍しいものではなくなった。
プリウスも、今回の新型で5代目となる。現行型の4代目は、独特のデザインで好き嫌いが分かれたことや、前述のようにHVの選択肢が増えたこと、そしてBEV(バッテリー電気自動車)の台頭などもあって、販売的には少し伸び悩んだ。では新型プリウスは、どうする?
ワールドプレミアのプレゼンテーションでデザイン領域 統括部長のサイモン・ハンフリーズ氏が語ったように、豊田章男社長はタクシー専用車かOEM供給モデルとして、多くの台数を送り出してカーボンニュートラルに貢献する、コモディティ(必需品)化を提案したという。
だが、大矢氏を中心とする開発陣は、「多くのお客様に乗って愛されるクルマづくりがしたい」という思いから、章男社長の提案したコモディティも考えたが、彼らの思いは強く、「愛車(LOVE)」の方向で開発が進められた。
ではパワーユニットは、どうする? いま、電動化には、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、バッテリー電気自動車、燃料電池車など、さまざまな選択肢がある。プリウスとして何を選択すべきか?
プリウスが量産車のHVとして初めて世に出たことを鑑み、「ハイブリッドでお客様に提供するのがいちばんではないか(大矢氏)」と考え、ハイブリッドが選択された。また、プリウスにはパイオニアとしてのプライドがある。プリウス=ハイブリッドという認知度もある。そんな点も含めて、あえてハイブリッドにこだわって開発された。