専用チューンが施された国産のハイパフォーマンスモデルたちを紹介しよう。(Motor Magazine 2023年1月号より)
もっともホットな「R」はシビック タイプR
日本の「R」や「RS」で直近でもっともホットなのは、シビック タイプRだろう。「タイプR」というのは、もともと初代NSXで究極の走行性能を追求した軽量かつ高性能版として1992年に初めて設定されたのち、95年にインテグラ、97年にシビックにも設定されて大人気を博した。FFの概念を覆す切れ味鋭いハンドリングや、突き抜けるように回る高回転型のエンジンは、たしかに印象深いものがあった。
そんなタイプRはやがてシビックのみとなり、FF量産車世界最速という使命が与えられた。新型は、後塵を拝している宿敵ルノーメガーヌR.S.を上回るべく、ニュルのタイム更新の準備を着々と進めているようだ。
スバルはレヴォーグとWRX S4に新たに設定されたのが、「STIスポーツ R」だ。いずれも現行のスバル車でもっとも高性能な同じFA24型エンジンを搭載しており、レヴォーグの場合は既存のCB18型搭載車とは一線を画する存在となっている。
トヨタではGRシリーズがスポーツカーブランドでGRスープラ、GR86 、GRヤリスの最上級グレードが「RZ」だ。参考までにGRスープラとGR86は下に「SZ」系があり、GR86では装備が差別化され、GRスープラはエンジンまで異なる。
GRヤリスは、別格的なRZに対して、見た目はRZとほぼ同じながら中身はノーマルのヤリスに近い、気軽に走りを楽しめるベースモデルという位置づけで、「RS」がラインアップされている。
日産は「R」の称号を与えた究極の2モデルを用意
そもそも「R」といえば、真っ先に思い浮かべる自動車メーカーは、多くの人にとっておそらく日産のはずだ。現時点ではあまりRの名の付く車種は少ないが、「R」の象徴的存在であるスカイラインにはラインナップされている。
「400R」という名称は、スカイライン史上最高の400psを超えるエンジンをより印象づける「400」と、歴代の特別なモデルのみに与えられてきた、スカイラインにとっては「GT」よりも格上といえる「R」の称号を組み合わせたものだ。
そして、しめくくりはなんといってもGT-Rだ。究極な走行性能を追求し、スカイラインの中の高性能版ではなく、独立した車種となったのは周知のとおり。
その圧倒的なパフォーマンスは高性能車を手がける世界の名だたるメーカーも一目置くほどで、登場から15年が経過してもなお強烈な存在感を発揮し続けている。世界でもっともメジャーな「R」である。(文:岡本幸一郎/写真:佐藤正巳、永元秀和、井上雅行)