日本はもちろん、米国や欧州の安全評価試験でも高評価を獲得
安全性能でも世界中で高く評価されているスバル。2022年に公表された各国の安全評価試験結果にも、それは如実に表れている。
たとえば、米国のIIHS(道路安全保険協会)による安全性評価。6種類の耐衝撃性能試験を中心としたシビアな安全性評価試験で、アウトバック/WRX/フォレスター/BRZなど7車種(いずれも北米仕様車)が最高評価の「トップセイフティピックプラス(TSP+)」を獲得した。
TSP+の要件は2013年より導入されているが、スバルが獲得したTSP+は累計にものぼり、単一ブランドとしては最多となる。また極めて厳格なことで知られる側面衝突テストでは、ミッドサイズカテゴリーでアウトバックのみが「Good」評価を獲得している。
国内では、JNCAPで「ソルテラ」が衝突安全性能と予防安全性能の総合評価で最高得点を獲得、「自動車安全性能2022ファイブスター賞」を受賞した。前々年度のレヴォーグ、前年度のレガシィアウトバックに続く3年連続の快挙だ。
さらに欧州のユーロNCAPの2022年安全性能テストでも「ソルテラ」が最高評価のファイブスターを獲得するなど、その評価は揺るぎない。
もちろん、この定評は一朝一夕に獲得されたものではない。スバル独自の開発思想に基づいて、長年にわたり積み上げてきた地道な研究開発の成果にほかならない。
そもそも事故を起こしにくいクルマを作るという考えかた
スバルには「総合安全」という考え方がある。「0次安全」「走行安全」「予防安全」「衝突安全」そして「つながる安全」へ、である。
中島飛行機時代から引き継がれているスバルのDNAが「0次安全」という考え方だ。航空機では一瞬の操作ミスが惨事につながる。ゆえに、人間工学に基づいた適切な空間の実現が不可欠だ。クルマも同様。ハンドル、ペダルなどの操作機器の配置はもちろん、ドライバーの運転視界、助手席や後席の乗降性・着座姿勢・快適性など。すべてのスバル車に共通するベーシックな設計思想である。
特筆すべきは、ドライバーの運転視界だ。航空機では、パイロットが360度見渡すことができる視界性能が求められる。スバルは、クルマでも電子デバイスによる補助装置に頼るのではなく、ドライバーがまずは自分の目で確認できる「直接視界」を最優先している。不可避な死角は各種のミラーやカメラで補い、そのうえでシャシやボディの構造、アイサイトに代表されるさまざまな運転支援システムを搭載して万全を期す。
つまりすべての技術開発のベースの出発点は、危険回避性能の向上を含めた直接視界の確保であり、それによって安全を担保するのが0次安全の考え方なのである。
では実際にクルマが走っているときの安全性能、つまり「走行安全」と「予防安全」とは何か。走行安全については、スバルならではの水平対向エンジンとそれに由来するシンメトリカルレイアウトが大いに関係している。万が一の前面衝突にもエンジンがフロア下にもぐり込みやすく、かつ衝撃吸収のためのフレームを左右対称かつストレートに延ばすことで衝突エネルギーを効果的に吸収することができるのだ。
この素性の良さを活かして開発されたのが「新環状力骨構造」と呼ばれるスバル独自の衝突安全ボディである。キャビンをピラーやフレームでカゴのように結合することで、前方後方だけでなく、側方や斜め方向まで全方位で高い衝撃吸収性能を発揮するのだ(マルチロードパス構造)。
また、2014年より採用が始まったSGP(スバルグローバルプラットフォーム)は走りの質感を大いに高めただけでなく、安全性能のレベルもさらに引き上げた。ボディ骨格の連続性を高めるフルインナーフレーム構造を組み合わせることで車体の強度や衝撃吸収性能を大幅に進化させている。
ちなみに新型クロストレックでは、リアサブフレームを追加したほか、前後バンパービームを拡大して自車だけでなく衝突相手の被害軽減も図られている。
歩行者保護エアバッグを国内メーカーで初めて採用したのもスバル。新型クロストレックでは、フロントガラスまわり(Aピラー)にまで展開する最新の歩行者保護エアバッグが搭載された。また乗員の衝突被害低減技術の研究も進んでおり、肋骨への負担を軽減するエアバッグや乗員の体格を判別して最適な荷重を発生するシートベルトも開発され、同じく新型クロストレックから採用されている。