電動化路線と真逆な純エンジン搭載車アウディRS3
カーボンニュートラルに向けての対応策として、ピュアEV一択の姿勢をいよいよ明確にしている欧州メーカー勢。それに呼応をするかのように、日本にもかつてない勢いで各ブランドから新しいピュアEVが上陸を始めているのが現状だ。
そうした中で、「もうこれが見納めかも」と思えるようなエンジンを搭載する多くのスポーツモデルが複数上陸したというのも、2022年の見どころとなった。
たとえば、フォルクスワーゲングループの中にあっても、「2026年以降に発売するニューモデルはピュアEVに限り、エンジン搭載モデルの生産は2033年までに段階的に終了する」と明らかにして、電動化に対する急先鋒とも思えるブランドがアウディ。
ところがそんなこのブランドからローンチされた、一切の電動化に対して背を向けるような、そんな特別な純エンジンを搭載したモデルが4月に発売されたRS3だ。
A3をベースにフェンダー部分を拡幅し、スポーティなデザインの専用ボディキットを装着するなどしたハッチバックとセダンの両ボディに設定されたRS3は、専用チューニングが施されたサスペンションにフロント側の方がワイドという「逆異サイズ」とも言えるタイヤを装着し、さらにリアアクスルには完全なる後2輪駆動をも可能とする特殊なベクタリングシステムまでを装備するなど、歴代RS3の中にあってももっとも過激と思える内容を秘めての登場。
さらに、RS3のアイデンティティとも言うべきターボ付きの直列55気筒エンジンも、今や2.5Lの排気量から400ps、500Nmを発生するという強烈ぶり。まさに、電動化の急先鋒ブランドとは思えないほどの割り切りぶりが印象的な1台となったものである。
ゴルフ史上最強のモデル、ゴルフRが登場している
また、フォルクスワーゲンからも、「ゴルフ史上、もっともパワフルなハイパフォーマンスモデル」を自称するゴルフRが登場。
専用のボディキットを纏い、最高320ps、420Nmを発生する2Lターボエンジンを搭載。さらに「Rパフォーマンストルクベクタリング」と呼ぶ、リアアクスルに配置された2つの多板クラッチを装備して、左右輪間のトルク配分を行うシステムはコーナリング性能を高めている。
さらに、ゴルフの弟分とも言うべきポロのGTIグレードは、搭載する2のターボ付きエンジンの最高出力をこれまでの200psから207psに向上させている。また専用セッティングのシャシに専用チューンのスポーツサスペンションを装備するなど、さらにパフォーマンスのアップを図って再デビューを果たしている。
一方、460psという最高出力を発生するなど、ヨーロッパでは発表されて詳細スペックも明らかになっている新型のM2がまだ上陸まで秒読みという段階にあるBMWでは、2シリーズアクティブツアラーのフルモデルチェンジが最大のニュースということになる。ボディのサイズは従来型よりわずかに大きくなったものの、2670mmというホイールベースは同一。
大型化したキドニーグリルは賛否両論が明確に分かれそう・・・というのは、昨今登場するBMW車ではありがちな話題だが、大型化したディスプレイや逆に小さくなったATセレクターが目を引くインテリアは、従来型に対してグンと進化して見えるようになったことは間違いナシだ。
これまで、優れたエンジンコンストラクターとして名を馳せてきたBMWも電動化に対して熱心に取り組んでいることは間違いないが、さしあたりこのモデルの日本仕様車にはまだプラグイン対応モデルは設定されておらず、パワートレーンにはターボ付きの1.5L直列3気筒ガソリンエンジンもしくはやはりターボ付きの2L直列4気筒ディーゼルエンジンが搭載される。