「ゆとり」を感じさせる室内空間は上質感でも史上最強
インテリアは日本流の美的センス(aesthetics)にインスパイアされたもの。天然のカーリーメープルなど多様な素材とカラーをハーモナイズさせることで、洗練された表現の中にしっとりと落ち着いた雰囲気を漂わせる。日本伝統の製織技術である「かけ縫い」から生まれたハンギングステッチもまた、CX-90ならではの特別感を強く感じさせるワンポイントだ。
もうひとつ、PHEVのオーナーズマニュアルから読み取れるのは、非常に優れた実用車としての素養だ。
たとえば、70Lに達する大容量のガソリンタンクはロングクルージング時に非常に心強い。燃費性能については明らかになっていないようだが、PHEVであることを考えればそうとうな最大航続距離を確保していることだろう。
2列目シートは、60対40分割可倒式3人掛けのベンチタイプと独立式のキャプテンシートタイプを設定。後者のカーゴスペースは、3列目シートを収納すると2129Lに達する。室内と車外からスイッチで電動開閉が可能なパワーリフトゲートを採用、ハンズフリーアクセスの機能も設定されている。荷室には、120V/1500WのAC電源も配される。
アメリカ、カナダなど北米市場において、CX系はマツダブランドの人気を牽引し続けてきた。背景には日本でもおなじみのCX-30、CX-5だけでなく、地域性やライフスタイルに合わせるように個性が磨かれた魅力的なラインナップが揃う強みがあることは確かだ。実用車としての機能性にもこだわりぬいているのは、当然なのだ。
まとめ ──── 上級志向のベテランユーザーも魅了できそうだ
たとえばCX-5を思い切りにマッチョにしたような「CX-50」などは、ことデザイン性では日本人にもしっかり刺さる迫力をまとう。サイズの壁を超える事さえできれば、さぞかし人気を博することができるだろう。そのうえでAWD×ガソリンモデルオンリーと割り切って、アクティブな乗り方、使い方にもしっかり応えてくれるところも魅力だ。
同様に・・・いや、それとはまた違う意味で、新しいCX-90もまた母国日本のユーザー目線で軽く嫉妬してしまうほど「カッコいい」。どちらかと言えば若々しさが勝ち気味に思える日本サイズの魂動デザインは、還暦目前の私にとって少々まぶしすぎる時がある。けれどCX-90なら「もしかすると人生最後の愛車」候補のリストに入れてもいいような・・・そんな気がしている。