ドライバー正面に移動し、見やすくなったメーターパネル
1997年に誕生したプリウスは、新型の登場で5世代目となる。すでにプロトタイプの試乗記が賑わいをみせているが、筆者は今回が初対面、初試乗となる。今回、公道で試乗したのは「Z」グレードのFFと4WD、そして「U」グレードのFF。タイヤはUグレードのみ17インチ(タイヤは195/60R17)だが、それ以外はすべて19インチ(同195/50R19)を装着していた。
実車を目の前にしたファーストインプレッションは、余分なキャラクターラインを廃したデザインはとても空力が良さそう、というもの。2022年11月のワールドプレミア時に画像で見ていたとき、実はあまり強く印象に残らなかったのだが、実際に見るとこれがなかなか良い。さすがにコンセプトどおりの「一目惚れ」とまではいかなかったが、このクラスのクルマとしては、かなり印象的なデザインである。
この良い印象を持ちつつ運転席に座る。すると驚いたことに、メーターがドライバーの正面に配置変更されている。初代から従来型までセンターメーターを採用されてきたが、やはり「愛車」となるにはドライバーの目前にあったほうが良いということなのだろう。そうそう、新型プリウスは「乗る人に長く愛される愛車」になるべく開発されているのだという。
このメーター、ハンドルの上から見るとハンドルに邪魔されることなくすべてを見ることができる。プジョーに詳しい人なら「ああ、あれね。見やすいよね」とピンと来るはずである。実は筆者も長くプジョー 508SWに乗っていて、ハンドルの上からメーターを見るiコックピットを気に入っており「この見やすさに気づいたか」と思ったひとりだ。
ただしプジョーと異なるのは「小径ハンドルではない」ということ。プリウスはメーターとハンドルの距離を離すことで実現しているため、ハンドル操作の感覚に一切違和感がないのだ。実際にハンドルの上からメーターを見ると、これがなかなか良い。ぜひとも試乗時に確認して欲しい。
もうひとつ、ギアセレクターもこれまでの小型なものから一般的な形状&サイズとなり、場所もセンターコンソールの特等席へと移動した。ただし操作方法は従来のプリウスと同様で、ストレート式やゲート式など普通のAT車から乗り換えると少し慣れが必要だろう。
ギアセレクターが操作しやすい場所に移動した分、ドライブモード選択スイッチが小さく操作しにくいというデメリットもあるが、それを補ってあまりあるのがその横にあるスリット型スマホ収納部だ。「ただの置き場所」でなく、充電機能も備えた優れものである。もうひとつ、アクセルペダルが吊り下げ式からオルガン式になったことも朗報だといえるだろう。