待望のRモデルが加えられたゴルフシリーズだが、それに先行する形で新世代「R」はまずSUVで登場した。2021年5月にマイナーチェンジされたティグアンに「R」が設定され、日本にRモデルが復活。そして22年7月、やはりマイナーチェンジ実施と同時にTロックにも「R」が設定されてゴルフR導入への準備が整った。(Motor Magazine2023年3月号より)

「R」のルーツは2001年のニュービートルRSi

Tクロス、Tロック、そしてティグアンと、いずれも「T」の頭文字で始まる3つのモデルで構成されるのが、いま日本で販売されているフォルクスワーゲンのSUVラインナップだ。輸入車のSUV勢では「コンパクト」という冠言葉が付いて紹介されるモデルでも実は全幅が1.8mを大きくオーバーするなど、率直なところ日本の道路環境で日常的に使いこなすにはちょっと躊躇してしまうようなサイズの持ち主も目立つ。それらの中にあって、ボディサイズや価格が比較的手頃である、という点がフォルクスワーゲンのSUV人気につながっているのはおそらく間違いないことだろうと思う。

画像: ティグアンR。「R」はSUVの領域まで拡大されている。

ティグアンR。「R」はSUVの領域まで拡大されている。

実際、2021年にはTクロスとTロックの年間登録台数が輸入SUVのカテゴリーで1位と2位の座を占めるなど、データ上からも数ある輸入SUVの中ではもっともポピュラーな存在であることが示されている。しかしその中で、このグレード名が与えられたモデルだけに限っては、そんな悠長なことも言っていられないという特別仕立てのエクスクルーシブ性に富んだ存在感をアピールするのが「R」が冠されたモデルたちだ。

2001年に当時のニュービートルに設定された「RSi」を名乗るグレードがその端緒と紹介されるRシリーズはその後、4代目と5代目のゴルフをベースに3.2LLの挟角V6エンジンを4WDシャシと組み合わせて搭載した「R32」、同じ挟角V6デザインながら排気量を3.6Lまで拡大したユニットを、やはり4WDシャシとの組み合わせで搭載したパサート「R36」と続き、現在では日本への導入が中断されている大型SUVのトゥアレグにV型10気筒ターボ付きディーゼルエンジン搭載というRシリーズの中でも異色のキャラクターを備える「R50」(日本未導入)なるモデルまで用意した。

そうした事実は、今では知る人ぞ知ると言えそうなユニークで興味深いヒストリーである。

Rはスポーツ性をより強化。SUVでも積極的に展開

その一方で、単に「R」というひと文字のグレード名が与えられた現在のモデルに続く直系とも言える存在に限って見てみると、そのスタートは2010年にエンジンを直列4気筒の2Lターボユニットへ変えて登場した6代目ゴルフをベースに開発された「ゴルフR」からとなる。

画像: Tロック R。走りに対する熱い想いには、ただ一点の淀みも感じさせられることがない。

Tロック R。走りに対する熱い想いには、ただ一点の淀みも感じさせられることがない。

直噴システムの普及とセットとも言える過給テクノロジーの急速な向上によって大幅なパワーアップが実現された一方で、ダウンサイジングやレスシリンダー化が行われて重量の低減も図られたことで、見方によってはさらにスポーツ性が強化されたと受け取ることもできる。それが、このグレード名を「R」のひと文字で表している近年のフォルクスワーゲンにおける2Lターボのハイパフォーマンスモデルラインナップなのだ。 

そして昨今、それがSUVにも拡張されつつあるのはやはり「今」という時代ならではの傾向とも言えそうだ。フォルクスワーゲンのラインナップ中、日本マーケットのSUVでは現在、ティグアンとTロックという2モデルで「R」グレードが展開されている。

コンパクトな4気筒エンジンが用意されるようになったことでさまざまな車種に対する搭載の自由度が高まったという事情もあるが、ティグアンR、TロックRに搭載されるのもゴルフRと同じく4気筒の2Lターボエンジン。ただし両車の出力スペックは微妙に異なり、兄貴分のティグアン搭載ユニットが320psの最高出力と420Nmの最大トルクで新型ゴルフR用と同一なのに対し、TロックR用ユニットは300psに400Nmと、わずかに控えめだ。

それでも車重1750kgのティグアンに対してTロックは同1540kgと、ひとまわり以上サイズが小さなTロックの方が明確に有利で、ウエイト/パワーレシオはティグアンが5.175kg/psでTロックが5.13kg/psとなってデータ上は弟分の方が優勢という「下剋上」が発生するのが面白い。

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