RX450h+から感じる圧倒的な快適性と上質さ
一方、RX450h+で走り出して、まず驚かされたのが静粛性の高さだった。ロードノイズも風切り音も、とにかくあらゆる騒音のレベルが抑えられているのだが、それは人工的に無音というのではなく、言うなれば清々しい静けさ。実際、ここは開発の上で徹底的にこだわったところだという。レクサスと言えば静粛性と快適性。ブランドの基本哲学を久しぶりに、凄みをもって実感したという印象である。
乗り心地も上々だ。サスペンションはソフトな設定で、いかなるショックも何事もなかったかのようにいなしてしまうあたり、まさにRXらしいのだが、新型はその快適性が、高い安心感、スタビリティといったものと両立されているところに目を瞠る。ステアリングの手応えはしっかりしていて直進時の据わりもいい。姿勢のフラット感も高く、うねりで煽られるような場面でも一発で収めてくれる。
新型RXの車体は、先に発売されたNXなどと同じGA-Kプラットフォームを使っているのだが、実際には新設計のリアマルチリンクサスペンションが奢られ、それに伴ってとくにボディ後半部の剛性アップなどが図られた大幅進化版である。それが走りの質の向上に大いに貢献しているのだ。
2.5L直列4気筒エンジンと2基の電気モーターを組み合わせたパワートレーンに18.1kWhの大容量バッテリーを組み合わせたプラグインハイブリッドシステムは、最長86km をエンジンを始動させることなく走行できる。普段使いではほぼBEVのように使えるだけでなく、前述のとおり際立って高い静粛性も相まって、いわゆる電動車両の中でも群を抜く上質なテイストを味わわせてくれる。
嬉しいのはハイブリッドモードで、この時も電気モーターの介入頻度は通常のハイブリッド車よりも明らかに多く、おかげでより力強く、そして静かで滑らかな走りが可能なのだ。要するに、単なる電気モーターだけで走行可能な距離が長いハイブリッドというわけではないのである。外部充電可能な環境が整えられるなら、選ぶ意味は大きいと断言したい。
まさしく今どきっぽい、スタイリッシュでありかつ電動パワートレーンを搭載したSUVだというぐらいしか共通項のないこの2台だが、あえてこうして連れ立って出かけたことで、単に伊達だというだけでなく、それぞれに確かなポリシーの下、強い個性と高い実力を持っていることを改めて実感できた。
きっかけは、そのスタイリッシュさかもしれない。しかしながら実際に選んでみたら、RXもアルカナも"良い買い物をしたな"としみじみ実感することになるはず。それぞれ魅力あふれる、実にあとをひく2台だったのだ。(文:島下泰久/写真:永元秀和)
ルノー アルカナ R.S. ライン マイルドハイブリッド主要諸元
●全長×全幅×全高:4570×1820×1580mm
●ホイールベース:2720mm
●車両重量:1380kg
●エンジン:直4DOHCターボ+モーター
●総排気量:1333cc
●最高出力:116kW(158ps)/5500rpm
●最大トルク:270Nm/1800rpm
●モーター最高出力:3.6kW(5ps)/1800-2500rpm
●モーター最大トルク:19.2Nm/1800rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・50L
●WLTCモード燃費:17.0km/L
●タイヤサイズ:215/55R18
●車両価格(税込):399万円
レクサス RX450h+ “バージョンL”主要諸元
●全長×全幅×全高:4890×1920×1700mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:2160kg
●エンジン:直4DOHC+モーター
●総排気量:2487cc
●最高出力:136kW(185ps)/6000rpm
●最大トルク:228Nm/3600-3700rpm
●モーター最高出力:前134kW(182ps)、後40kW(54ps)
●モーター最大トルク:前270Nm、後121Nm
●トランスミッション:電気式無段変速機
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・55L
●WLTCモード燃費:18.8km/L
●タイヤサイズ:235/50R21
●車両価格(税込):871万円