フル電動化だけでなく、さらなる「特別感」を追求
2023年3月12日に開催された年次総会において、ポルシェはグループ全体での2022年度実績が、売上高と販売台数で過去最高を記録したことを明らかにした。まさに絶好調の業績を背景にカンファレンスでは、長期的な営業利益率をさらに20%引き上げることを目指す「Road to 20 プログラム」をスタートさせることも明らかになった。

2021年に公表された、オールエレクトリック・マカンのプロトタイプ。中央はリアル公道でのテスト走行への期待感を語る、ポルシェAGの研究開発担当エグゼクティブボードメンバーのマイケル・シュタイナー博士だ。
ルッツ・メシュケ 財務兼IT担当取締役会副会長は業績好調の要因を「価格戦略の改善、強力な製品ラインナップ、セールスパワーの強化に加え、為替レートの影響と同時に厳格なコスト管理にあります」と語る。
2023年からの取組の中核とされているのは、「ひときわ特別なポルシェ」を生み出す「Sonderwunsch programme」(いわゆるワンオフ・プログラム)と、フル電動化モデルのラインナップ拡充だ。
「モダンラグジュアリー」を戦略コンセプトに掲げるオリバー・ブルーメ取締役会長は「新しいスポーツカーのコンセプトに基づく製品ポートフォリオを充実させるとともに、リミテッドエディションの対象を拡大させる」と語った。
そんな中、より具体的な進路が提示されたのは、きわめて野心的な電動化戦略の推進だ。2025年までに新車の50%、2030年には80%超をEVまたはPHV化する一大目標に向けて、スロットルを一気に踏み込んできた。
たとえばすでにその存在が明らかにされている全電動マカンは、発売に向けて着実に開発が進んでいる。デジタル領域での各種シミュレーションはすでに終え、リアル領域での実走テスト、熟成が進む。顧客への提供は2024年の予定だ。
その開発に当たっては、電動化に向けた空気力学的最適化や、ディスプレイとオペレーティングシステムを含むインターフェイスの革新も進められているという。

2021年からはフル電動化されるマカンの公道テストをスタート。2024年の市販化に向けた熟成が進む。高い外気温における超急速充電時の問題などを解決する取り組みも、進められているようだ。