最大性能を長く維持するため、走行中の充電時間を短くした
肝心のハイブリッドシステムについて記す前に、歴史的転換について書かなくてはならない。
ランボルギーニはカウンタック以来の伝統を捨て、V12+トランスミッションの配置を180度ひっくり返した。トランスミッションの置かれていたセンタートンネルにリチウムイオンバッテリーを収めるためだ。そしてトランスミッションはというと小型で軽量のDCTを新たに開発し、電気モーター一基と組み合わせてリアアクスル上に横置きとしたのだ。
フロントには、左右独立の電気モーター2基を搭載。もはや後輪との物理的な繋がりはないが、ディアブロ以来の個性であった4WDも電気的に継承した。2基の前モーターの性能はそれぞれ110kW/350Nmで前後のフル電動走行を担うほか、エネルギー回生やトルクベクタリングを行う。
リアは110kW/110Nmで主にスターター&ジェネレーターとして稼働、13種類も用意された走行モード次第では駆動の支援も行う。リチウムイオンバッテリー容量は3.8kWh。比較的容量は少なめ(フェラーリSF90の約半分)だが、走行中の充電時間を短くすることで繰り返し最大性能を得られることを重視した結果だ。ちなみに外部からの充電はフロントブートを開けて行う。
ハイパワーシステムを支えるのがフロントサブフレームまでCFRPとした新開発の骨格「モノフーゼレージ」だ。得意の鍛造コンポジットに伝統的なプリプレグ、さらには市販車では主流のRTMなど異なる成型法を駆使して組み合わせている。アヴェンタドール用よりも10%軽く、ねじり剛性は25%アップした。
ランボルギーニの新時代がいよいよ始まろうとしている。(文:西川 淳/写真:ランボルギーニS.p.A)