2010年3月、フル4シーターのクーぺカブリオレ「ボルボ C70」がビッグマイナーチェンジを受けて大きく進化した。電動ハードトップを開ければ美しいカブリオレ、閉じれば流麗なクーペスタイルという2つの個性を併せ持つC70はこの時どう変わったのか。ここではMotor Magazine誌が行った試乗テストの模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年5月号より)

必要十分な加速感と剛性感はキャラクターと合っている

それでは、実際に新たなる第2世代のC70に乗ってみよう。

試乗会場の地下駐車場に用意されたC70は、やはりエレガントな雰囲気だ。クーペスタイルでの流れるような美しいルーフラインを描けたのは、3分割タイプのリトラクタブルハードトップを採用したたまものだ。

サイドブレーキレバー横にあるスイッチでルーフを開ける。ルーフは複雑かつ効率的に折り畳まれ、格納される。4シーターカブリオレの場合、デザイン的に間延び感のあるモデルもあるが、C70はこの状態でも冗長な印象はない。

C70の利点はこうした美しいスタイリングだけではなく、その実用性の高さも挙げられる。後席は足元スペースも十分で、違和感のない背もたれ角度も含め、大人4名でのドライブも普通にこなすことが可能だ。

ラゲッジルーム容量はクローズ時で404L、オープン時には200L。そのオープン時、ボタンひとつでルーフ開口部側を20cm持ち上げて、トランクから荷物を出し入れしやすくする「ローディングエイド」は非常に便利な機能だ。

新型C70は標準で本革シートや8スピーカーのハイパフォーマンスオーディオなどが装備されるが、試乗車はスコットランド産の本革を使ったソフトレザーシートや18インチアルミホイール、車線変更時の死角情報を知らせるBLIS、最大910W14スピーカーのプレミアムサウンドシステムなどを装備したメーカーオプションのラグジュアリーパッケージ装着車(オプション価格40万円)。C70の持つプレミアム感がさらに向上している。

試乗会当日は、3月とは思えない台風並みの大雨。さらに試乗時間後半からは粉雪が舞うようなコンディションだったので、「オープンにして春風を楽しむ」ドライブは適わなかった。しかし、こんな状況においてもクーペスタイル時の静粛性は非常に高く、対応のCDをセットすればクリアで臨場感溢れたドルビーサラウンドを味わいながらのドライブも楽しめる。

画像: 本革シートや8スピーカーのハイパフォーマンスオーディオなどが標準で装備されるインテリア。

本革シートや8スピーカーのハイパフォーマンスオーディオなどが標準で装備されるインテリア。

車両重量が1730kgあるため、いくら230psを発生する2.5Lターボエンジンを搭載しているとはいえ、それほどパワフルな印象はない。加速感も、ボディの剛性感も、必要十分。逆に言えば、これはクーペカブリオレというC70のキャラクターにとても合っている。

もちろん、ドア内蔵型インフレータブルカーテン「SIPS」や万一の横転時、頑強なバーが立ち上がり後席乗員頭部を保護する「ROPSバー」など、クラストップレベルの安全性能は従来から踏襲されている。

開けて心地よく、閉めて美しい。実用性はそのままに、さらに自己を主張する。小手先のフェイスリフトモデルとは違い、「本気」の1台と言える。(文:Motor Magazine編集部/写真:島村栄二)

ボルボ C70 T5 GT 主要諸元

●全長×全幅×全高:4615×1835×1405mm
●ホイールベース:2640mm
●車両重量:1730kg
●エンジン:直5DOHC
●排気量:2521cc
●最高出力:169kW(230ps)/5000rpm
●最大トルク:320Nm(32.6kgm)/1500-5000rpm
●トランスミッション:5速AT
●駆動方式:FF
●車両価格:549万円(2010年当時)

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