日本でもすでに2023年2月27日に発表されている新型M2クーペ。デリバリーも間もなく始まる予定だが、ひと足先にアメリカで試乗した印象をお届けしよう。そのテイストは、多くのユーザーが考える「Mモデルらしさ」に満ち、十分期待に応えたものだった。(Motor Magazine 2023年6月号より)

3L直6ツインターボ搭載のコンパクトFRスポーツ

フルモデルチェンジを受けて登場した新型BMW M2だが、率直に言って基本コンセプトに変わりはないし、技術的にもとくに目新しい何かがあるわけではない。 

画像: 全長は4580mmとコンパクトで、筋肉質なボディデザインも魅力的。

全長は4580mmとコンパクトで、筋肉質なボディデザインも魅力的。

だがそれはむしろ歓迎すべきことだ。何しろこの時代に、走りの歓びをピュアに追求した電動化されていない直列6気筒ガソリンエンジンを積むコンパクトFRクーペを世に出してくれたのだから。 

試乗の舞台はアメリカのアリゾナ州フェニックス。初対面した新しいM2は、まずフレームレスのキドニーグリルとバンパー下の大きな開口部が印象的なフロントマスクで相当な迫力を感じさせた。 さらに、全幅はベースとなった2シリーズクーペよりもワイドだから、ロー&ワイド感も一層強まっている。それでいて先代の持っていたコンパクト感というか凝縮感も、しっかり備わる。全長も大きくなっているが、それでもM4より225mm短いのだ。

最新CLARアーキテクチャーを用いるこのボディは、徹底的な剛性アップが図られている。AピラーやCピラーの内部、トランクルーム内には補強部材が、そしてフロントサブフレームにはシアパネルが追加されて、という具合だ。

エンジンはそのM4譲りの3L直列6気筒ツインターボで、内部にハードウエア的な変更はほとんどないという。最高出力は460ps、最大トルクは550Nmに抑えられているが、それでも先代の370psに対して90psの大幅なゲインを得ているのである。

このパワーとトルクを後輪に伝達するのは8速AT、あるいは6速MTで4WDの用意はない。アクティブMディファレンシャルは当然、標準装備となる。

そしてサスペンションには待望のアダプティブダンピングシステムが搭載された。先代は固定レートのダンパーで、それ故に乗り心地に難があったのも事実なだけに、これは誰もが歓迎に違いない。

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