動力性能的には不満なし。高速クルーズもけっこう快適
全長は4.7mあまり、全幅は1.9m近いCX-60に乗り出すと、街中ではけっこう大きさが気になる。それでも背の高いSUVゆえ視界は良いし、2870mmというロングホイールベースながらFRベースのため最小回転半径は5.4mにおさえられているから、取り回しは思ったほど悪くない。車庫入れなども(オプションのカメラが備わっていたけれど)けっこうスムーズにできた。
車両重量は1.7トンを超えるが、188psと250Nmを発生する2.5Lの直4エンジンのパフォーマンスは十分なレベルにある。ターボも電気デバイスもないシンプルなガソリンエンジンに組み合わされるのはトルコンレスの8速AT。発進からパーシャルスロットルで加速していくとポンポンとシフトアップしていく。少しシフトショックが大きめだが、慣れてしまえば気になるほどではない。
ディーゼルのように低速域からトルクフルとはいかないが、2000rpm以上回っていればパワー的には不満はない。80km/h走行は8速で1500rpm、100km/hなら1800rpmくらいで、ハイウエイクルージングもけっこう快適。メーターは中央のスピードメーターだけ液晶で、スポーツモードにすると周囲が赤く表示される。エンジンのレスポンスが高まるというが、劇的には変わらない。ノーマルでも走りっぷりは十分だ。ボディの剛性もしっかりしている。
足まわりの設定は上級グレードより良いかも?
CX-60は上級グレードで足まわりの硬さが取り沙汰されていたが、この25SとXDの一部グレードではリアサスペンションのピロボールを1個にしてスタビライザーを外している。そのおかげか乗り心地は良く、路面の継ぎ目などでも突き上げを感じることもない。もっとも、この手のクルマは人や荷物を多く積む機会が多いし、今回の試乗は基本的に1人乗車だったから、購入を検討しているなら、乗り味に関しては自分で試乗して確認したほうがいいだろう。
今回、約110kmの試乗(約7割が市街地、残りが都市高速)で、平均燃費計の数値は9.8km/L。残り走行可能距離(燃料計にこの数値が出るのは便利)は370km、燃料の残りは約4分の3を表示していた。この大きさの2.5Lガソリンエンジン車がリッター10km近く走れば、ひと昔前なら文句なしだったが、ディーゼル車やハイブリッド車の燃費を見慣れてしまうと物足りなく思えてしまうのは仕方ないところか。ちなみに、WLTCモードでは13.1km/Lとされている。
日本車では希少なFRベースのSUVで、ラージクラスならではの室内やラゲッジスペースは十分に広い。長距離移動が多いならディーゼルを選んだほうがベターだが、シティユースがけっこう多く、このクラスのSUVでも気軽に付き合いたいというなら、コスパの高さを考えても、この25Sという選択はありだろう。CX-60の購入検討者には、気になるグレードになりそうだ。(写真:Webモーターマガジン編集部)
マツダ CX-60 25S Sパッケージ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4740×1890×1685mm
●ホイールベース:2870mm
●車両重量:1720kg
●エンジン:直4 DOHC
●総排気量:2468cc
●最高出力:138kW(188ps)/6000rpm
●最大トルク:250Nm(25.5kgm)/3000rpm
●トランスミッション:8速トルコンレスAT
●駆動方式:フロント縦置き4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・58L
●WLTCモード燃費:13.1km/L
●タイヤサイズ:235/60R18
●車両価格(税込):321万7500円