1970年代の後半に大ブームが起き、今もなお人々を魅了してやまないスーパーカーたち。そんな懐かしいモデルから現代のハイパースポーツまでを紹介していく、スーパーカークロニクル。今回は、フェラーリ エンツォフェラーリだ。

F1GPで得た最新テクノロジーを投入したV12を搭載

画像: リアミッドに縦置きされるV12エンジンは圧縮比11.2とボッシュ モトロニックME7により、660psと657Nmを発生。

リアミッドに縦置きされるV12エンジンは圧縮比11.2とボッシュ モトロニックME7により、660psと657Nmを発生。

コクピットの後ろに縦置きミッドシップマウントされたエンジンは、当時のフェラーリの主流であった65度のV型12気筒DOHC。可変吸排気バルブタイミング機構などF1GPで得た最先端のテクノロジーが投入され、最高出力は660psを発生しながら、低回転域のトルクを増強して幅広い速度レンジでのバランスが追求されている。

トランスミッションはF1マチックと呼ばれる6速のセミATを組み合わせるが、変速のタイムラグを極力排除するため、シフト時間はわずか0.15秒にまで短縮されている。ステアリングには、F1マシンのように車両制御のためのボタンやスイッチ類が配されていた。

ブレーキシステムはブレンボによって特別に開発されたものだが、CCM(カーボンセラミック)製のローターなどにはスクーデリア フェラーリのテクノロジーが注ぎ込まれていた。タイヤはブリヂストンのポテンザRE050スクーデリアで、当時F1GPで密接な関係にあったブリヂストンが専用に開発したものだ。

エンツォフェラーリは、F1テクノロジーが注ぎ込まれたスーパースポーツカーだったが、ただ高性能というだけでなく、ASRと呼ばれる車両姿勢安定制御機構(スタビリティコントロール)を搭載して、ロードカーとして極めて高い安全性を確保していた。

安全な超高速走行へのフェラーリの対応は、その後のスーパースポーツカー開発にとって見逃せない大きなポイントとなっていく。

画像: ASRの採用により、最高速350km/hでも安全に走れるとした。テールランプは伝統の丸型を採用している。

ASRの採用により、最高速350km/hでも安全に走れるとした。テールランプは伝統の丸型を採用している。

フェラーリ エンツォフェラーリ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4702×2035×1147mm
●ホイールベース:2650mm
●車両重量:1255kg
●エンジン種類:65度V12 DOHC
●総排気量:5998cc
●最高出力:660ps/7800rpm
●最大トルク:657Nm/5500rpm
●燃料・タンク容量:無鉛プレミアム・110L
●トランスミッション:6速AMT
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●タイヤサイズ:前245/35ZR19、後345/35ZR19

画像: amzn.to
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