日本市場で好調なルノーについては、当Webモーターマガジンでも紹介したが、その要因のひとつである独自のハイブリッド「E-TECH フルハイブリッド」を搭載したルーテシア、アルカナ、そしてキャプチャーの試乗会に参加した。3台の違いと共通点を探ってみたい。(文:鈴木ケンイチ)

日本製ハイブリッド車に匹敵する燃費の良さも魅力

画像: アルカナのE-TECH フルハイブリッド。他の2台も補機類を含めて基本的なシステムは変わらない。

アルカナのE-TECH フルハイブリッド。他の2台も補機類を含めて基本的なシステムは変わらない。

まずは「E-TECH フルハイブリッド」について簡単に説明しよう。このシステムは、エンジン、メインモーター、HSG(ハイボルテージ スターター&ジェネレーター)、そしてリチウムイオンバッテリーを使う。トヨタのTHS IIなどと近い、2モーターのハイブリッドだ。しかし、トヨタなどと違うのは、トランスミッションにドッグクラッチを使い、モーター側に2速、エンジン側に4速のギヤを備えること。

これらを組み合わせることで、モーターのみの走行、モーターとエンジンを組み合わせるハイブリッド、そしてエンジンのみの走行を可能とする。主にスタートから40km/hほどがモーター駆動で、40~80km/hがハイブリッド駆動、そして80km/h以上がエンジン主体の駆動となる。驚くのは、その燃費性能の優秀さで、WLTCモードでルーテシアは25.2km/L、アルカナとキャプチャーは22.8km/Lを誇る。低燃費を謳う日本製ハイブリッド車に肉薄する。マイルドハイブリッド主流の欧州車としては、飛びぬけた燃費性能だ。

驚くほどスムーズな加速。燃費もいいルーテシア

画像: E-TECH フルハイブリッドのパワーはコンパクト ハッチバックのルーテシアには十分すぎるほどだ。

E-TECH フルハイブリッドのパワーはコンパクト ハッチバックのルーテシアには十分すぎるほどだ。

まずはルーテシアから試乗を開始した。ドッグクラッチは日本語に訳すると「かみ合いクラッチ」であり、犬が噛みつくように、がっちりと接続して滑らないのが特徴だ。しかも、エンジンとモーターにそれぞれギヤがあって、変速しながら走る。だが、このルーテシアは驚くほどのスムーズさで加速する。ATというより無段階変速のCVTのような滑らかさだ。しかも、アクセル操作に対するレスポンスも悪くない。聞けば、エンジンとモーター、そしてタイヤの回転速度を計算し、回転差をなくして変速しているという。エンジンにHSGが接続しているからこそできる緻密さだ。

今回、高速道路と市街地を普通に走ってみたのだが、簡単にカタログ燃費をクリアできた。以前に別の機会でエコランを行ったところ、高速道路中心で30km/L台を出すことができた。CVTのように滑らかなのにレスポンスが良く、しかも燃費が良いのだ。

91psと144Nmを発生する1.6L エンジンと、20psと50NmのHSG、そして49psと205Nmのメインモーターという3つの動力源が生み出すパワーは、Bセグメントサイズのルーテシアには十分すぎるほど。キビキビとした瞬発力ある走りを楽しめる。ディーゼルエンジンを卒業したルノーが、次世代環境型パワートレーンとして、この「E-TECH」にかけたくなるのも理解できる実力だ。

今回の試乗車は、2023年6月29日に追加された新グレード「E-TECHエンジニアード」だった。ルーテシアの最上位グレードになり、スポーティにクルマを飾る専用の内外装と、360度カメラなど充実の先進運転支援機能、そしてBOSEサウンドシステムが装備されている。パワートレーンの出来の良さに負けない充実の装備。サイズは小さいけれど、少しゼイタクなクルマが欲しいという人にオススメだろう。

ルノー ルーテシア E-TECH エンジニアード 主要諸元

●全長×全幅×全高:4075×1725×1470mm
●ホイールベース:2585mm
●車両重量:1310kg
●エンジン:直4 DOHC+モーター×2
●総排気量:1597cc
●最高出力:67kW(91ps)/5600rpm
●最大トルク:144Nm(14.7kgm)/3200rpm
●モーター最高出力:36kW(49ps)/1677-6000rpm+15kW(20ps)/2865ー10000rpm
●モーター最大トルク:205Nm(20.9kgm)/200−1677rpm+50Nm(5.1kgm)/200ー2865rpm
●トランスミッション:4速AT(エンジン)+2速AT(モーター)
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・42L
●WLTCモード燃費:25.2km/L
●タイヤサイズ:205/45R17
●車両価格(税込):379万円

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