小さなトラブルが数多く発生し続ける
2023年のクラブレーシングはマシン3台体制で、チームメンバーは総勢50名にもなる大所帯。そして7月16日の本戦に向かって、マシンメンテナンス、公式練習×2、車検という日程をこなしていきます。その間に参戦ドライバーのK-TAIライセンス取得、エントリーを実施。さらに車検はレース本戦前日なので、本戦前夜は宿泊する必要があります。そうした宿泊の手配、そしてレース本戦時のメンバー50人分の食事と飲料も用意が必要です。つまるところ、レースだけでなく、それにかかわる一切合切の庶務がマネージャーの仕事として待っていました。
細かく、気を遣う、面倒な手配や手続きが数多く発生します。しかも、新米マネージャーですから、当然、手際が良いわけもありません。それに付け加え、現場にはアクシデントがつきもの。「財布をなくした」から始まり、「手続きができていない」、「書類が不備」、「誰誰が遅刻してくる」といった小さなトラブルが続きます。そう、延々と続くのです。
とはいえチームには古参のメンバーもいて、新米マネージャーを陰に日向に手助けしてくれました。これもチームプレイということでしょう。本当に助かりました。
スタートラインにマシンが並んで一安心
次々と迫ってくる課題やトラブルを、ひとつずつクリアして進んでいく。まさにマネージャー業とは、障害物競争です。正直、「本戦に3台のマシンをスタートさせることができないのでは?」という不安に襲われる瞬間もたびたびありました。ですから、7月16日の朝に3台のマシンがスタートラインに並んでいるのを見ただけで、もう大役を終えたような達成感があったのです。
ちなみに、今年は、なんと予選でチーム3台のうち1台がポールポジションを獲得! といっても予選順位はくじ引き。別に速いわけではありませんでしたが、くじ運の強さであっても、これも今年の大きな成果だったと思います。
なぜなら、ポールポジションに若いドライバーたちが大喜びしていたからです。しかも、ゴール後に表彰式にも呼ばれました。表彰台にのるのもモータースポーツの喜びのひとつ。若い自動車メディアの人間に経験を積ませるのがチームの狙いです。モータースポーツの楽しさを経験させることができた! その手応え、充実感こそが、マネージャーという裏方で参加したレースの楽しみと言えるでしょう。
ちなみにチーム3台の順位は、51位、53位、81位。若くて初心者の多いチームとしては、3台が完走しただけでも成功だと感じています。そして灼熱の中、誰も熱中症にならなかった、けが人も出なかった。これも今回の収穫だと思います。
ドライバー、メカニック、ヘルパー、そしてスポンサー。そうした関連した人たちすべての力があったからこそ、ゴールという果実を得ることができたわけです。マネージャーになった今年は、例年よりも、感謝の気持ちが強く感じることができました。これもレースの醍醐味のひとつなんでしょうね。(文:鈴木ケンイチ)
●撮影:クラブレーシング(森山良雄/伊藤毅/西川昇吾)
●協力:株式会社ホンダファイナンス/関彰商事株式会社/本田技研工業株式会社/ホンダモビリティランド株式会社/株式会社ホクビー/(有)ケイズカンパニー