発売以来、世界で約560万台を生産し、約150カ国で販売されてきたピックアップトラックの三菱トライトン。9年ぶりのモデルチェンジで日本でも12年ぶりに販売される注目モデルがタイ・バンコクでワールドプレミアされた。(Motor Magazine2023年10月号より)

濃厚に詰まった三菱らしさで、ハイラックスなどのライバルに対抗

シングルキャブ、前席+荷物置き場のクラブキャブ、ダブルキャブの3種類のボディは、直線基調で無骨な雰囲気に三菱のフェイスアイコンであるダイナミックシールドを融合させた、押し出しの強いデザインとされる。全長は先代より100mm以上伸ばされ、最大5360mmにも達する。

これは基本骨格を先々代から流用していた先代で不満として挙げられていた荷台の広さを確保するため。実際、積載寸法はライバルのトヨタ ハイラックスよりも全方位に大きくなっている。

フレームの新開発は、まさにこのサイズアップが一番の目的だ。さらに、今回は断面積が65%も拡大され、高張力鋼板の使用比率も増やすことで、重量増を抑えながら曲げ剛性を60%、捻り剛性を40%向上させたとする。

画像: ボディの大型化にともない荷台は先代よりも広くなった。

ボディの大型化にともない荷台は先代よりも広くなった。

サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リアがリーフリジッド。フロントはストロークを伸ばし、リアはリーフ枚数を減らすなどして、走破性、乗り心地を向上させている。

新開発の2.4L直列4気筒ディーゼルターボエンジンは、3スペックが用意される。そのうち高出力仕様はターボチャージャー、燃焼システムなどを刷新して最高出力150kW(204ps)、最大トルク470Nmを発生する。トランスミッションは6速ATと一部に6速MTを設定する。

4WDシステムは、これも三菱らしいスーパーセレクト4WD IIを最高峰に設定する。後輪駆動、フルタイム4WD、センターデフ直結にローレンジといった多彩な駆動モードを用意し、走行シーンに合わせた7つの制御モードも設定。AYCも備えることで、どんな路面でも最適な走りを可能にしていると謳う。

かつてのトライトンの日本導入は成功とは言えなかったが、今回はアウトドアニーズの広がりという背景があり、ライバルであるハイラックスが示すとおりニーズがあることも明らか。さらに、クルマにはこだわった「三菱らしさ」が濃厚に詰まっているとなれば、違った戦いになると期待していい。

この新型トライトンが生産されるレムチャバン工場は設備を最新鋭のものに刷新。こちらも気合が入っている。発売が楽しみな新型トライトン。まずは一刻も早く、その実力を試してみたい。(文:島下泰久/写真:三菱自動車)

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