大型のディスプレイを各所に配した近代的なインテリア
インテリアデザインは、シビックに似た水平基調でシンプルな印象。一方で、より上級志向を強めるためソフト素材が多用されており、心地よい空間と上質な佇まいを両立している。また、7色から選択できるアンビエントライトを標準装備しており、インパネラインやドアラインを水平に灯す。
そして12.3インチの大型センターディスプレイに加えて、10.2インチのフル液晶メーター、さらに11.5インチ相当の大型ヘッドアップディスプレイを採用したインターフェイスを搭載。
さらに「エクスペリエンスセレクションダイヤル」と呼ばれる、1つのダイヤルで複数の機能の操作が可能なコマンドを初採用した。これは、ユーザーごとにエアコンの温度設定やオーディオソース、照明などの車内機能を一括設定することもでき、お気に入りの車内空間を提供する。
例えば「エアコン22度、オーディオはブルートゥース接続、アンビエントライトは赤」をダイヤル登録すると、その後ワンタッチでその状態にしてくれる、とった機能である。実際に試用してみると最大8つまで登録できることもあり、家族で分けたり、季節や天気で変えるといった使い方にも対応できそうだと感じた。
ちなみにこの時、標準装備される「BOSEプレミアムサウンドシステム(12スピーカー)」の音質を試すことができたが、密室性の高いセダンボディも影響したのか、同ブランドのZR-Vよりもダイナミックで奥行きのある音質が実現されていると感じた。この辺りも室内空間をより楽しめる「相棒」としての資質があった。
Googleビルトインを搭載したインフォテインメント
新型アコード最大のトピックといえるのが、ホンダ車で初となる「Googleビルトイン」を搭載したインフォテインメントシステムだ。これにより音声操作による各種操作が可能となるGoogleアシスタントや、メーターにナビ表示できるGoogleマップ、メディアアプリを利用できるGoogle Playが搭載された。
車内のインターフェイスが、よりスマートフォンに近い操作性を手にしたのは非常に魅力的だ。さらに、OTA(Over The Air)で制御系のECUも新たにソフトウェア更新が可能になったのも朗報だ。
実際にこのGoogleビルトインのインフォテインメントを試してみて特に印象的だったことは、レスポンスの良さだ。音声認識の早さやマップのスクロール感ひとつとっても、レスポンスが高性能スマホさながらで、応答待ちしている印象がない。これは積極的に音声コマンドを使いたくなる。さらに音声認識の正確性もさすがGoogleのシステムで、発話とほぼ同時に言葉が画面表示にされるため、使い勝手や安心感も高い。
また先進運転支援システムもバージョンアップした。最新の全方位安全運転技術「Honda SENSING 360(ホンダセンシング360)」を国内市場向けとして初導入。従来のHonda SENSINGに対してレーダーやセンサーを追加したことによって、運転支援の精度の高さや、安心・安全の性能も向上した。
約100度の有効水平画角を持つフロントセンサーカメラに加えて、フロントレーダーと各コーナーに計5台のミリ波レーダーを装備することで、全方位での安全性を確保。また、アコードとしては初めて全車速域でハンドル支援を行う「トラフィックジャムアシスト」やハイビームの配光調整機能を持つ「アダプティブドライビングビーム」、より精度の高い駐車支援を行う「Hondaパーキングパイロット」も搭載した。
さらに2025年にはこれらの機能に加えて、ハンズオフ機能を追加したHonda SENSING 360を新型アコードに搭載し、発売を予定している。
車両価格は未発表。先行予約の受付開始は2023年12月から
今回はあくまで新型アコードの公開で、正式な発表・発売は2024年春を予定している。先行予約の受付は、2023年12月に開始するという。まだ車両価格や詳しいスペックなどは公表されていないが、ホンダのフラッグシップサルーンの進化は見た目もさることながら、とりわけインターフェイスの進化に驚かされた。次の機会にはぜひハンドルを握って、より深く「相棒アコード」を体験してみたい。(写真:井上雅行)