「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、フォルクスワーゲン ザ・ビートルだ。
フォルクスワーゲン ザ・ビートル(2011年・フルモデルチェンジ)
「ザ・ビートル」の愛称が与えられた3代目ビートルが、いよいよ日本デビューを果たした。ゴルフやポロのエントリーグレードと同じ1.2Lターボ+7速DSGでは・・・?と不安視された走りだが、さすがはフォルクスワーゲン。不満ないパフォーマンスを見せてくれた。
1938年から66年間続いたタイプ1の生産が2004年で幕を閉じ、ビートルの新たな時代がやって来た。言うまでもなくその途中には、1998年にデビューした「ニュービートル」があるが、新型の「ザ・ビートル」はニュービートルの次世代型というより、原点のタイプ1に立ち返った感じが強い。
デザインも、長いボンネット、立てられたAピラー、後席の上がいちばん高くなるようなラインを描くルーフ。左右均等に丸みを帯びたニュービートルとは違いタイプ1に近い。インテリアにも、上向きのコンソールボックス「ビートルボックス」が備えられたり、後席グリップがつり革式だったりと、初代へのオマージュが感じられる。また、ドアポケットもゴムバンド式だったりとカジュアル感が演出され、ベース車のゴルフよりクロスポロに雰囲気は近い。
パワートレーンは1.2LのTSI+7速DSGという、最近のフォルクスワーゲン車ではすっかりお馴染みのものだ。言うまでもなくパワー的には十分。1280kgの車両車重にJC08モード燃費17.6km/Lという数値は、ゴルフ TSIトレンドライン プレミアムエディションとほぼ同じだが、走り出しからして軽さが違う。おそらく見えないところで改良が重ね続けられているのだろう。