まもなく10年目となる4代目ロードスターが、登場以来初となる大幅改良を実施した。2022年式に乗る筆者が20代の下道専門オーナー目線で、何が、どう変わったのかを忖度なしに正直レビューしていこうと思う。

街乗りオーナーも気付く、見た目の近代化改修

ロードスターはシンプルで潔いのが美学のクルマである。他のマツダ車が次々とマツコネ2に切り替わる中、初代マツコネを使い続けてきたし、Sグレードやその特別仕様車990S、モータースポーツベース車のNR-Aにいたってはディスプレイすらつかず、セグメントオーディオを採用するという漢気ぶりであった。

デビュー以来9年間の歩みとしては、毎年毎年ボディ・幌・内装のカラーを変えた特別仕様車を出すことで違う世界観を表現して新鮮さをキープ。NDロードスターという圧倒的なポテンシャルを秘めたモデルだからこそビッグマイナーチェンジを受けずとも輝きを放ち続け、なんなら990Sの登場により発売7年目にしてND型として最高の販売台数を達成するという“異常現象”が起こったのである。

ところが、今回の大幅改良ではついにそんな内外装にも大きくテコ入れされることとなった。

NDロードスターのオーナーであれば、エクステリアをパッと見ただけでも“照準器”をイメージしてデザインされたレーダーユニットやジェットエンジンのアフターバーナーを意識したテールランプなど、戦闘機の要素が追加されているのがわかるだろう。

画像: 戦闘機のアフターバーナーを意識したテールランプ。夜間に見るともっとカッコいいはずだ

戦闘機のアフターバーナーを意識したテールランプ。夜間に見るともっとカッコいいはずだ

従来もメーターフードや円形のエアコン吹き出し口など、どことなく戦闘機っぽい要素はあったので、今回の改良でよりアグレッシブなデザインになったと言えるのではないか。

続いて車内に乗り込んでみると、なるほど、確かに質感が大幅に近代化して、平成→令和仕様に引き上げられていることにすぐ気付く。エンジン始動時に目に入るメーターも針と盤面のコントラストが上がったことで視認性が向上し、初代マツコネ(7インチ)→マツコネ2(8.8インチ)に大画面化した専用サイズのディスプレイは画質も良く、ベゼルレスのバックミラーと合わせて一気に最新のスポーツカーとなった。

画像: ND初のタンカラーのセンターコンソールとなる「Vセレクション」は必見!このパーツのみ旧モデルとの互換性があるそうだ

ND初のタンカラーのセンターコンソールとなる「Vセレクション」は必見!このパーツのみ旧モデルとの互換性があるそうだ

初代マツコネは縦にも長く運転視界の端に見えるイメージだったが、マツコネ2では横長で縦のはみ出し量が減ったことで運転視界に入り込まなくなり、運転により集中できるようになったことも嬉しいポイントだ。

このように、街乗りでまったりとドライブを楽しむライトなオーナーであっても、ドライバーから見える景色が異なっているのでしっかりとロードスターの世界観を楽しめるように仕上げられている。

全グレードでマツコネ採用の背景&990Sとの別れ

今回の改良でS・NR-Aにもマツコネ2が標準装備となったため、全てのグレードで新しいディスプレイの質感を体感できるが、これは国土交通省が2024年5月以降に販売されるすべての自動車にバックカメラまたはバックセンサー等「後退時車両直後確認装置」の搭載を義務化したことによるものと考えられる。

逆にいえば、LSDレス、セグメントオーディオ採用などの徹底した軽量化により、安価に1トン切りのパッケージングを実現していたS・990Sのようなモデルは今後出てこないことを意味している。

もっとも10kg~20kg程度の重量であれば街乗りではほとんど違いを感じないだろうし、いざとなれば乗り手側の努力(つまりダイエット)で絞り出すこともできる数値ではあるが、990Sが売れまくっていたことを考慮すれば“1トン切り”という象徴的なモデルが消えたことは、マツダにとっても苦しいアップデートだったかもしれない。

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