クラウンとしてはちょっと新機軸なスタンスが「カッコいい!」と大評判になっている、新型クラウン スポーツの上級グレード「PHEV(プラグインハイブリッド)」に公道で初試乗。従来のHEVに対して大きなアドバンテージと言える街乗り×EV走行の気持ちよさを中心に、新たな「スポーツRSの価値」をチェックしてみました。

運転席と助手席、それぞれに似合う「色・気」の使い分け

トヨタが謳うHEV/PHEV共通のクラウンスポーツのコンセプトは「エモーショナルで創造的な雰囲気を持ち、乗り降りや運転のしやすいパッケージと共に、俊敏でスポーティな走りが楽しめる、新しいカタチのスポーティSUV」です。

画像: 他の新型クラウンシリーズと同様に、ディスプレイや各種操作スイッチ、シフト、ドライブモード切替スイッチなどを、センターコンソールに集中配置した「アイランドアーキテクチャー」を採用。運転に集中できる適度な包まれ感を生んでいる。

他の新型クラウンシリーズと同様に、ディスプレイや各種操作スイッチ、シフト、ドライブモード切替スイッチなどを、センターコンソールに集中配置した「アイランドアーキテクチャー」を採用。運転に集中できる適度な包まれ感を生んでいる。

注目したいのは、その「エモーショナルで創造的な雰囲気」の部分。スポーツRS専用に設定された華やかブラックとレッドのカラーコンビインテリアは、オーナーになる悦びをストレートに感じさせてくれる特別感にあふれています。

ブラック×レッドによる左右非対称のカラーコーディネイトのインパクトは鮮烈。Zの設定色であるサンドベージュに比べると運転席側と助手席側のコントラストが思い切り際立ちます。もちろんトータルでのあでやかさはどこに座っても味わえますが、ドライバーの視界はブラックが主となっているので、運転に集中することができそうです。

対照的に助手席側は、常にほどよい高揚感を堪能できる演出です。しかもこの赤がまた、新しい。「センシュアルレッド」と名付けられたカラードレザーは、新開発の光輝材を練りこんだもの。陰影のコントラストが際立つ上に、ほどよいキラ感が楽しめます。

派手すぎない塩梅も絶妙。スポーツウェアにも通じる高い機能性を備えた上質なファッション性を感じさせます。加えて個人的には「なんだか美味しそう」で・・・しっとりとした質感とあいまって、ちょっと高級なベリー系デザートをイメージしてしまいました。

乗る人のセンスの良さをわかりやすくアピール

シートベルトも赤、そこかしこに赤いステッチ。デザインを担当した開発者によれば、そのインテリアが描き出す世界観のひとつが、オーナーの奥様が思い切りオシャレをして運転するシーンなのだそう。

画像: ショルダー部のホールド性を高めたシルエットが、洗練されたスポーティ感を演出するRS専用シート。赤ステッチに加え、本革もスポーツレザーが採用されている特別な仕様だ。運転席は8ウェイ、助手席は4ウェイの電動調節機能を備える。

ショルダー部のホールド性を高めたシルエットが、洗練されたスポーティ感を演出するRS専用シート。赤ステッチに加え、本革もスポーツレザーが採用されている特別な仕様だ。運転席は8ウェイ、助手席は4ウェイの電動調節機能を備える。

女性が愛用するような高級バッグをさりげなく後席にポンと置いておくのが似合う、そんなコーディネイトです。

個人的には、奥様とオシャレ友達がふたりで、郊外のショッピングモールやゴルフに出かけるシーンにめちゃくちゃ似合いそう、だと思いましたが、デザイナーが込めた思いは実はもっと深いところにあるようです。

いわく、従来のクラウンでは奥様が運転していると、いかにも「ご主人に借りてきたクルマ」という印象になりがちだったのだとか。クラウン スポーツRSではそんな借りてきた猫感は薄められて、女性であってもしっかりセンスの良さをアピールすることができると言います。

というわけで、クラウン スポーツRSのオーナーにはぜひ「ファッショナブル」という世界観を楽しんでいただきたい、と思った次第。もちろん女性限定というわけではなく、男性だって贅沢なオシャレ時間を楽しんめることは、言うまでもありません。

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E-Fourとショートホイールベースのマッチングも良好

「スポーツ」を謳う以上、走りの楽しさもまた重要なポイント。今回の試乗では、都内一般道のみを走りましたが、ワインディング路での走りの気持ちよさにも多いに期待していいでしょう。

画像: マスの大きさは常に感じられるものの、ハンドリング自体は極めてニュートラル。PDA(プロドライブアシスト)はデフォルトでオフになっているが、それなしでも安心感の高いドライビングを楽しむことができた。

マスの大きさは常に感じられるものの、ハンドリング自体は極めてニュートラル。PDA(プロドライブアシスト)はデフォルトでオフになっているが、それなしでも安心感の高いドライビングを楽しむことができた。

発進時やコーナリング時には最適な前後トルク配分をまるでドライバーの意識と一体化しているかのように操ってくれるE-Four(電気式4WDシステム)は、クロスオーバー(G/X)と同系のメカニズム。スポーツRSでも、卓越したコントロール性を発揮してくれるはずです。

クロスオーバーRSに採用される「E-Four Advance」ほどのアグレッシブな制御は入っていませんが、それはもしかするとクロスオーバーに対して80mm短いホイールベースに対応した最適解なのかもれません。

クロスオーバーでも違和感のないシャープなハンドリングをサポートしてくれたDRS(ダイナミックリアステアリング)もまた、ショートホイールベースなスポーツの特性に合わせて、ゲインをやや低めた味付け。ドライバーが積極的に操る楽しさが、より身近なレベルで楽しめそうです。

タイヤ、ブレーキのアップグレードが安心感につながる

精密な駆動制御とともに、HEV仕様に対しておよそ200kgも増えた車両重量が、街乗りでは「重厚感=質感の高さ」という恩恵につながっているように思えました。なにしろ乗り心地が良いんです!

画像: ホイールベースは、クロスオーバーよりも80mm短い2770mm。最低地上高は165mmが確保されている。

ホイールベースは、クロスオーバーよりも80mm短い2770mm。最低地上高は165mmが確保されている。

クロスオーバーに対して10mm幅広に設定された21インチの大径タイヤ、ショートホイールベース化はともすれば対アンジュレーション、突き上げなどの面でネガティブ要件につながりそうですが、スポーツRSでもそれらの不快感を見事に「丸めて」います。

スポーツZをベースに、フロアトンネル部にブレースを追加することで、ボディ剛性の最適なバランスを追求。それに合わせた前後ショックアブソーバの摩擦特性や減衰力特性の最適化は一般道レベルでも、コーナリング時のフラットな姿勢など確かなスポーツ性能を感じさせてくれました。同時に、日常遣いにおける心地よいしなやかさ、というメリットをもたらしているようです。

本質はスポーティな走り向けと思われながら、しっかり心地よさにつながる走りのデバイスと言えば、スポーツRS専用の20インチ対向6ピストンアルミキャリパーも、上級感の向上に貢献しています。

2トンを超えるボディながら、ブレーキペダルを踏み込めば欲しいだけの減速Gをスムーズに生んでくれるので、流れをリードするような走りでも安心感が違います。ワイドタイヤの採用と合わせて単なる絶対性能とは違う意味で、スポーツRSの洗練された操りやすさを支えているデバイス、と言っていいでしょう。

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