EVモード×SPORTモードが気持ち良すぎる
ファッション性に富んだ上級スポーティSUVとして、新型クラウン スポーツRSはハイレベルな仕上がりを実感させてくれました。加えて、街乗り試乗で驚かされたのは、PHEVとしての強みが生きる優れたEV走行性能でした。
スポーツ RSでは、EV/HVの優先制御切り替えスイッチをシフト手前に配置。CHARGEモードへの切り替えも、これで行います。
EV走行での航続距離はWLTCモードで90kmを確保していますが、バッテリー残量が十二分であればその最高速度は、新東名高速のハイスピード区間でも大丈夫なレベルに達しています。つまりスペックだけ見ても、街乗りはもちろん有料道路を走るような通勤シーン(あるいはお買い物シーン)でも、ほぼほぼEVとして使うことが可能だと考えられます。
しかもただ「走れるだけ」ではなく、加速する過程そのものが気持ちいい。
NORMAL/SPORT/ECO/CUSTOMという4つのドライブモードを選択可能ですが、オススメは「とりあえずSPORT」。シャープかつスムーズな加速感がシームレスに楽しめます。実際、一般道ではエンジンがかからないように丁寧なアクセルワークを心がけても、面白いように流れをリードすることができました。
HEVと同じA25A-FXS型2.5L直4エンジンの最高出力はやや絞られています(HEV:186ps→PHEV:177ps)。しかし組み合わされる前後2モーター プラグインハイブリッドシステムでは、逆にフロントモーターの出力/トルクはHEVが120ps/202Nmなのに対して、PHEVは182ps/270Nmと大幅に高められています。
リアモーターは同じ54ps/121Nmですから、フロントモーターの余裕がEVとしてのスポーツRSのポテンシャルを高めているカギと言えます。
駆動用電池はHEVのバイポーラ型ニッケル水素電池5Ahに対して、51Ahまで大容量化されたリチウムイオンバッテリーを採用。その余裕を生かして、レスポンスに優れる電気モーターを積極的に活用、優れたドライバビリティを生みました。
ECOモードは少々おっとりし過ぎでは?
ドライブモードがNORMALでも十分流れはリードできるので、ほどほどのゆとり感(と言ってもそうとう速いけど)でOKなら十二分にアリ。
ECOでも試してみたのですが、こちらはあえておススメしません。発進時はもちろん、クルーズ状態(あくまで街乗り低速レベル)でもアクセル操作に対するツキが穏やかすぎて、フラストレーションがたまるような気がしたからです。
エンジンを始動させないためにはアクセルの踏み込み加減へのもちろん配慮が必要ですが、目的地から自宅まで往復30~40kmくらいの行程なら、EV走行一択で日々を過ごせそうです。自宅での充電インフラが整っているならなおさら、ガソリンはエマージェンシー用と考えていいでしょう。
さらに、最大50kWまでの急速充電にも対応しているので、出先での継ぎ足し充電でもストレスは少なくてすむはず。WLTCモード(20.3km/L)で単純計算すると、満充電90km分に55Lタンク満タン分を加えてトータル1206km走ることが可能ですが、急速充電も効果的に利用すればさらに超ロング&エコなツーリングが楽しめそうです。
SA充電の30分ルールでは、80%いっぱいまで継ぎ足すのは難しいものの、連続して充電しても効率が落ちることはないそうです。それなら充電時間のロスを考慮しながら。EV走行中心でのドライブ計画が立てやすいかもしれません。