予想を超える広がりが示す、ドイツ車の新たなる方向性

GT3 RSが秘める走りのポテンシャルを一般公道上ですべて引き出すことなど「到底困難」を承知で走り始めると、まずはそのフットワークのテイストがすこぶる硬派である一方、それがまったく不快感には繋がらないことに驚かされた。

画像: レース由来のGT3はセンターロック式ホイール標準装備。装着タイヤは、ミシュラン製のパイロットスポーツカップ2。

レース由来のGT3はセンターロック式ホイール標準装備。装着タイヤは、ミシュラン製のパイロットスポーツカップ2。

その理由として、路面情報を濃密に伝えつつもそこに無駄な動きは一切伴わず、強固なボディが振動の残留を許さないことが挙げられそうだ。

フロントに6ピストン式、リアに4ピストン式のモノブロックアルミキャリパーを擁するというスペックから予想したよりも、ブレーキが発する立ち上がり減速Gが弱いことに当初は戸惑いを覚える。

だが、きちんと踏力を与えればそれに応えて強烈な効きを示すことに即座に気が付いた。こうした2ペダルモデルで、コンマ何秒を削るサーキットドライビングに、左足ブレーキはマストのテクニックだろう。

画像: 想定する走行ステージと速度域の違いから、リアウイングの形状も大きく異なる。そのバリエーションの幅広さには驚く。

想定する走行ステージと速度域の違いから、リアウイングの形状も大きく異なる。そのバリエーションの幅広さには驚く。

それにしても強烈だったのは、走りのペースが高まるにつれて顕著になってくる、ハンドル操作に対してのターンイン挙動のシャープさである。

これが、専用にチューニングされたリアアクスルステアリングやダブルウイッシュボーン式フロントサスペンションの成せる技なのかどうかは定かではないものの、ベース車両である通常のGT3以上の切れ味を感じられた、というのは確かな印象だ。

故郷がサーキット、という事柄をこれまで以上にストレートに演じるGT3 RSの仕上がりは、ある面「予想したとおり」と言える一方、すでにワイドであった911ならではの世界観に、さらなる予想を超える広がりをもたらしたのが、ダカールというモデルだ。

それらは、これまで「質実剛健」という言葉で紹介されることの多かったドイツ車の価値観に、また今後の新たな方向への展開を期待させるに十分なものと、そう紹介できるのではないだろうか。(文:河村康彦/写真:永元秀和)

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