モータースポーツシーンからのフィードバックも豊富だ
この他に新しいS58型が先代のS55型と大きく異なるのは、クランクシャフトの受け方だ。クランクシャフトを下から支えるのはアルミニウム製のベッドプレートタイプだったが、新しいエンジンでは鉄製の受けになった。
アルミのベッドプレート方式は高回転で回る分には問題ないが、1回ずつのより大きな爆発力に耐えられるようにするためには鉄製の受けが必要になったからだ。
クランクシャフトといえば、S58型はフルカウンタータイプになっている。ひとつひとつは薄くして質量を減らしているが、これでバランスを取って高回転に対応できるようにしている。
また、サーキットを走ることを前提に作られたエンジンだから、長い高速コーナーでオイルが偏っても潤滑できるように、メインポンプ以外にサクションポンプを複数設けているのも特徴だ。
このS58型エンジン、実はM3/M4の前に2018年にデビューしたX3M/X4 Mですでに採用されていた。ただしチューニングはM3/M4とは異なり、ベースモデルは480psと600Nm、コンペティションは510psと600Nmの仕様となる。
X3 M/X4 Mの場合はエンジンルームの高さに余裕があったから、吸気用のインタークーラーがヘッドの上に配置されていたが、M3/M4ではシリンダーの横に移されている。(ここまで文:こもだきよし)
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前述したとおり、M2のパワーソースはM3/M4にも搭載されるものと、同型同メカニズムとなっています。高効率な3L 直列6気筒ターボは圧力損失を最小限にするとともに、流体抵抗も極めて低く抑えることでレスポンスが最適化されました。
高効率な吸気ダクトとともに重量を最適化した鍛造ピストンの採用によって、高回転まで最大限かつ安定したパワー供給を実現。ターボチャージャー自体も、ブース圧を最適化することで迅速かつダイナミックなレスポンスを発揮、低回転時でも太いトルクを生んでいます。
本誌ではそんなS58B30Aエンジンを、もうひとつのBMW製ストレート6「B58B30B」を搭載するGRスープラRZと6速マニュアルトランスミッション仕様同士で、比較試乗しています。乗り手は西川 淳氏。「気持ち良さ」を究めた2台は果たして、どんな違いを楽しませてくれたのでしょうか。(Webモーターマガジン編集部)