実用性を考えたらSUVが魅力的に見えるし、走りを楽しむならセダンを選びたい。けれど、どちらも望むなら・・・改めて注目されるべき存在が、「ワゴン」だろう。シンプルにカッコいい!と感じられるスタイリングも含めて、乗り物としての理想がそこにある。前編はまず、それぞれの「カッコよさ」と実用性能について比較してみよう(MotorMagazine 2024年6月号より再構成)

BMW5シリーズツーリング「オーセンティックゆえに強い存在感」

対するBMW5シリーズ ツーリングは先般、新型が発表されたばかり。しかしながら今回連れ出したのは現行型の最終モデル。540i xDrive ツーリングMスポーツはラインナップの最上級に位置する存在である。

画像: 2017年にデビューしたG31型5シリーズツーリングはいまだにデザインの古さを感じない。

2017年にデビューしたG31型5シリーズツーリングはいまだにデザインの古さを感じない。

改めての対面で驚いたのは、そのスタイリングがとてもオーセンティックに見えることだ。フォルムはシャープで直線的。ボディサイドを前後に貫くショルダーライン、Eクラスのそれに較べれば後方までストレートに伸ばされているルーフなどが、そうした印象に繋がっているのだろう。

こうして2台を並べるとなおのこと、そんな印象が強まる。質実剛健なメルセデス・ベンツのステーションワゴンに対して、軽快でスポーティなのがBMWのツーリングだというのがかつての印象だが、目の前の2台を見ると、まるで立場が逆になったかのようだ。

けれど、それが良かった。大胆なアプローチを続ける最近のBMWのデザインと較べると、刺激薄あるいは古典的と感じる人もいるかもしれない。けれど一方で、その端正な佇まいには、安心感のようなものが漂うのも事実である。

画像: BMWのツーリング伝統のガラスハッチは、狭い駐車場などでの荷物の出し入れに便利。

BMWのツーリング伝統のガラスハッチは、狭い駐車場などでの荷物の出し入れに便利。

上質な空間と相応の使い勝手。数値にこだわる必然はない

このエクステリアデザインとも密接に関係するラゲッジスペースを見てみよう。

画像: 最大積載量1830Lを確保するEクラスステーションワゴン。リアのホイールハウスがトランクルームに突き出ていないので非常にスッキリとした印象。トランクスルーを利用してパーテーションネットを装着すれば荷物を安心安全に積載できる。

最大積載量1830Lを確保するEクラスステーションワゴン。リアのホイールハウスがトランクルームに突き出ていないので非常にスッキリとした印象。トランクスルーを利用してパーテーションネットを装着すれば荷物を安心安全に積載できる。

画像: モデル末期の5シリーズツーリングなので、最大積載量は1700LとEクラスには一歩及ばず。ただし全体としてスクエアな荷室空間が特徴で、頭上空間のゆとりが大きい。可動式フックを備えたラッシング・レールも装備され使い勝手も良好。

モデル末期の5シリーズツーリングなので、最大積載量は1700LとEクラスには一歩及ばず。ただし全体としてスクエアな荷室空間が特徴で、頭上空間のゆとりが大きい。可動式フックを備えたラッシング・レールも装備され使い勝手も良好。

Eクラス ステーションワゴンの荷室容量は先代の640〜1820Lから、615~1830Lになった。後席使用時は微減、最大容量は微増である。ちなみに先々代212シリーズは最大1910Lだった。先に記したとおり、今や容量が最優先事項ではないということがわかる。

一方の5シリーズ ツーリングの荷室容量は後席使用時が570L、最大では1700Lとされる。数値上の差は小さくはないが、実際に両車を見較べると、普段の使い勝手は、どちらも十分なレベルを超えているのは間違いない。

リアゲートは大きく開き、トノカバーがそれに連動して持ち上がる。フロアにも側壁にも隙間なくカーペットが貼られて、40:20:40分割の後席バックレストを倒せばほぼフラットな空間が生まれる。

さらに、その荷室とキャビンを隔てるためのネットなども標準で備わるといったあたりまでは両車共通。

違いとしては、5シリーズ ツーリングにフロアにネットなどを固定するためのレールが備わり、床下に外したトノカバーを収めておく凹みがあり、リアゲートとは別にリアウインドウだけ開閉できることが挙げられる。スマートな使い勝手という面では、一枚上手と言うべきかもしれない。

ただし、実用において最大容量の数十リットルの差はさほどの問題ではないはずだ。上質な空間と相応の使い勝手があり、時に旅行用やレジャー用の大荷物を積み込むにも躊躇が要らなければ十分なはず。

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