28%もフリクションが低減されたFB型4気筒水平対向エンジン
EJからFBに。スバルの4気筒水平対向エンジンが、21年ぶりに全面刷新され3世代目となったが、その新エンジンが搭載されたのがフォレスターの改良モデルである。新しいエンジンを積むならフルモデルチェンジされたニューモデル、それも主力車種のレガシィからと考えても良さそうなものだが、スパッとモデルサイクルの半ばのフォレスターから搭載したスバルの英断には拍手を送りたい。いいものを早く使いたいと考えるのは当然のことなのだ。
この新しいボクサーエンジン“FB型”には2Lと2.5LのNAが用意されるが、フォレスターには2Lが搭載された。従来のEJ型→新型のFB型を2L同士で比較すると、総排気量が1994cc→1995cc、圧縮比が10.2→10.5、ボア×ストロークが92×75mm→84×90mm、最高出力は109kWのまま変更ないが最大トルクが191Nm→196Nmへとアップ、燃費も約10%向上させたという。
この新しいエンジンは、環境対応型である。「EJ型エンジンには限界が見えていたので、思い切って新しくしたのです。FB型は細部まで徹底的に見直すことでコンパクト化に成功、さらにスモールボア&ロングストロークにして燃焼室のポテンシャルをあげ、フリクションは28%も低減させました。10%改善された燃費の1/3は、このフリクションの低減によって達成したものです」と商品企画本部の市川和浩プロジェクトゼネラルマネージャーは言う。
常用の速度域や低回転域での動きは実にスムーズ
しかしここで少し疑問が。スバルはリニアトロニック(CVT)を持っているので、せっかくエンジンを一新したのだからトランスミッションもCVTにしたらもっと燃費は良くなるのではいだろうかと。
これにはスバル技術本部エンジン設計部主査の白坂暢也さんが答えてくれた。「CVTを積むには車体側の形状変更をしなければならないため今回の改良モデルのフォレスターではそこまで大がかりなことができなかった」のだという。ということは新型へフルモデルチェンジするときにはCVTを採用し、さらに燃費性能を向上させてくるということだろう。
というわけで新パワーユニットを積んだフォレスター2.0XSに期待して走り出したが、これがEJ型と同じ最高出力だとは思えないほどよく走る。最大トルク5Nmほどのアップでは、その差は通常では体感できないはずだが、明らかに違うフィーリングだ。
このフォレスター(SH型)がデビューしたときも同じ場所で試乗したのだが、その時と比べると走り出しから実にスムーズであることがわかる。とくに街乗りなどで頻繁に使う速度域や低回転域での動きはかなり使いやすい。ただし、コーナリング時の姿勢変化は相変わらず大きい。もっと硬めでもいいだろう。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:赤松 孝、村西一海)
スバル フォレスター2.0XS 主要諸元
●全長×全幅×全高:4560×1780×1675mm
●ホイールベース:2615mm
●車両重量:1480kg
●エンジン:対4DOHC
●排気量:1995cc
●最高出力:109kW(148ps)/6000rpm
●最大トルク:196Nm(20.0kgm)/4200rpm
●トランスミッション:4速AT
●駆動方式:4WD
●車両価格:232万5000円(2010年当時)