3×2バルブシステムはどう作動するのかを解説
具体的にどう作動するかを見ていこう。ポイントは1気筒あたりにプライマリーとセダンダリーの2つの吸気バルブを持つことだ。約2500rpm以下では、プライマリーバルブのみを低速回転にマッチしたバルブタイミングで開閉。吸入スワールを強化し燃焼効率を上げる。
一方、約2500rpm以上では、プライマリーバルブとともにセカンダリーバルブを高速回転に適したバルブタイミングとリフトで作動させ、吸入混合気量を増大させ出力の向上を図っている。さらに燃料噴射量、点火時期、過給圧、EGR量等を、ひとつのコンピューターで制御する総合電子制御方式を採用し、ドライバビリティを向上させた。
こうした制御により200ps/6000rpmの最高出力と28.5kgm/3500rpm(ともにグロス)となり、ハイパフォーマンスカーとして十二分のスペックを与えられた。当時、人気を集めていたグループAレースでの活躍もあり、スタリオン人気が頂点に達したと言える。
その後はこのエンジンをトップとしたラインナップで販売を続けられるが、北米ではコンクエストとして2.6Lインタークーラーターボエンジン搭載車が販売されていた。それが国内で発売されたのが1988年4月。このエンジンはG54B型2.6L直4SOHCにインタークーラーターボを装着したものだ。
こちらはシリウスダッシュ3×2ではなくオーソドックスな1気筒あたり2バルブエンジンに半球形の燃焼室を持つ。G5系エンジンはそれまでアストロンの愛称が与えられていたが、このスタリオンのエンジンには新たにサイクロンとなった。
大排気量のビックトルクに加えてインタークーラーターボということで最高出力175ps/5000rpm、最大トルク32.0kgm/3000rpm(ともにネット値)で、動力性能は当時の国産車の中でも図抜けたものとなった。