「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、日産 フェアレディZのクーペとバージョンNISMOだ。

日産 フェアレディZ バージョンNISMO(2012年:マイナーチェンジ)

画像: 再び快適性重視に回帰したバージョンNISMOの走りには、ていねいなチューンが感じられる。

再び快適性重視に回帰したバージョンNISMOの走りには、ていねいなチューンが感じられる。

オーテックジャパンのコンプリートZ、バージョンNISMOもマイナーチェンジされた。「ニスモ」と名が付くものの、基本的にはオーテックジャパンが開発。ベース車からの変更点は多岐にわたり、内外装はいうまでもなく、むしろ見えないところに細かく手を入れていることのほうが見どころといえる。

従来型に対しては、サスペンションチューニングを見直し、タイヤ&ホイールをサイズアップするとともに、銘柄をBSポテンザ REー11に変更。加えて、ボディ補強パーツを追加するなどした。これらによる乗り味の変化は明白だ。思えばZ33で出た初代バージョンNISMOは、ベース車が荒い乗り味だったところ、実に洗練された印象に仕上がっていた。ところがZ34で最初に出たときは、ベース車の快適性が上がったのに対し、サーキットでのラップタイムに主眼を置いたようなスパルタンな走りに性格が変わっていた。

そして今回は再び原点に返った印象で、快適性を確保した、洗練されたドライブフィールとなっていた。高速巡航時のフラット感やコーナリング時のライントレース性なども素晴らしい。空力パーツの効果が小さくないこともうかがえる。エンジンの最高出力と最大トルク値は従来型と同じだが、低中速トルクがアップしており、とくにコーナーからの立ち上がり加速でそれを実感する。とにかく本当に走っていて気持ちいい。

しかも、初代は見た目が派手すぎる印象もあったが、現行型はクルマ好きな中高年もそれほど臆することなく乗れそうな雰囲気となった。ノーマルもいいが、わずかな価格の上昇でこれほど違うのだから、走りにこだわる人にはぜひ選んで欲しい。世界的にも、この価格でここまでていねいにチューニングされたFRスポーツはそうそうない。そのコストパフォーマンスの高さも、強調しておきたい。

画像: コンピュータチューニングを見直し、355㎰の最高出力はそのままだが中速域のトルクをアップしている。

コンピュータチューニングを見直し、355㎰の最高出力はそのままだが中速域のトルクをアップしている。

日産 フェアレディZ バージョンNISMO 主要諸元

●全長×全幅×全高:4405×1870×1315mm
●ホイールベース:2550mm
●車両重量:1540kg
●エンジン:V6 DOHC
●総排気量:3696cc
●最高出力:261kW(355ps)/7400rpm
●最大トルク:374Nm(38.1㎏m)/5200rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・72L
●JC08モード燃費:ー
●タイヤサイズ:前245/40R19、後285/35R19
●当時の車両価格(税込):513万500円

This article is a sponsored article by
''.