ジャーマンプレミアムのセグメントを牽引してきたメルセデス・ベンツのEクラスとBMWの5シリーズ。中でもそれぞれのワゴンモデルは各ブランドの個性際立つ存在として今なお注目を集めている。そんな本特集のメインに相応しい2台を連れて彼らの妙味を感じてきた。(MotorMagazine 2024年10月号より再構成/文:島下泰久/写真:永元秀和)

エアサスペンション搭載の追加モデル

2024年6月号の第二特集「きっとあなたも好きになる、ワゴンの世界」で私は、今こそワゴンを選ぶのが粋じゃないかという話を書いた。スタイルを感じさせるクルマを選ぶならば、ワゴンは間違いなく今、選択肢に入れるべき存在だという話である。

画像: ドイツワゴンの礎を築いた2台は、これからも他をリードする存在だろう。

ドイツワゴンの礎を築いた2台は、これからも他をリードする存在だろう。

特集自体がワゴン、しかもドイツ生まれのそれだという今回、プレミアムワゴンという括りの下に連れ出したのは、この2台。

24年春デビューのメルセデス・ベンツE300ステーションワゴン エクスクルーシブ(以下、E300ワゴン)、そして導入されたばかりのBMW 523d xドライブ ツーリング Mスポーツ(以下、523dツーリング)だ。

その6月号では、まだ5シリーズは先代モデルだったが、今回は新型のお出ましである。対するEクラスも、記事内で触れたエアサスペンション搭載の追加モデルということで、最新のラインナップが揃った。改めて2台の実力を比較し、魅力をあぶり出してみたい。

ツーリングはディーゼルとBEVを用意

新型5シリーズ ツーリングは、セダンと同じく主力にBEVのi5を据えた大胆なラインナップで登場した。しかもセダンには設定される2L 直4ガソリンターボの523iはなく、内燃エンジン搭載車は2L直4ディーゼルツインターボの523d一択となる。

画像: ライト点灯でキドニーグリルが光るBMW・アイコニック・グローを採用。伝統だったL字型デザインは、新型で2重構造となった。これまでMスポーツは前後異サイズのタイヤを装着していたが、新型は、前後とも同サイズの245/45R19を装着する。

ライト点灯でキドニーグリルが光るBMW・アイコニック・グローを採用。伝統だったL字型デザインは、新型で2重構造となった。これまでMスポーツは前後異サイズのタイヤを装着していたが、新型は、前後とも同サイズの245/45R19を装着する。

正直、ツーリングに限らずPHEVは日本にも導入するべきだと私は考えている。

セダンの導入時に「2030年にグローバル販売の50%をBEVとして、電動化で世界をリードするというBMWとしてのコミットメントを先取りする」という趣旨の発言があったが、本国にはiの設定があるのだし、なにより待っているユーザーが数多くいるのだから、そこを無視する理由はないはずだ。

大胆と言えば見た目もそう。これもセダンと同じく、端正とすら言えた先代から一気にスポーティに振られたデザインは議論を呼ぶに違いない。

しかしながらBMWはそれこそクリス・バングル時代のように定期的にこういうことを仕掛けてくるメーカーである。それが今後、どんな風に収れんしていくのか、あるいは自分の目が慣れていくのかは興味深い。 

実際この新しいツーリングについて、私はすでに結構ワルくないなという気がしてきた。伸ばされたフロントオーバーハングには、このぐらいのリアのボリュームが釣り合う。

それを鈍重に見せないようにリアウインドウをさらに倒してクーペっぽさを強めていることも含めて、バランスは好ましい。もちろん、その分サイズが大きくなり過ぎたのは事実。全長5mオーバーは、確実にユーザーを選んでしまうはずだ。

一方、このスタイリングと引き換えに残念な変更が施されてしまった。伝統だったテールゲートとは独立してリアウインドウが開く機構が廃止されたのだ。テールゲートが寝かされたことで、ヒンジを収めるスペースが厳しかったのは想像できるが、5シリーズ ツーリングを選ぶ理由のひとつが失われたようで寂しい。そう感じる人はきっと多いのでは。

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