ジャーマンプレミアムのセグメントを牽引してきたメルセデス・ベンツのEクラスとBMWの5シリーズ。中でもそれぞれのワゴンモデルは各ブランドの個性際立つ存在として今なお注目を集めている。そんな本特集のメインに相応しい2台を連れて彼らの妙味を感じてきた。(MotorMagazine 2024年10月号より再構成/文:島下泰久/写真:永元秀和)

後席の快適性か?ワゴンとしてのゆとりか??

続いては大事な荷室を見てみたい。

画像1: リアシートを倒すレバーはEクラス同様に備わる。上の穴はトノカバーレールで、新型は斜め上に上がらない仕様になった。

リアシートを倒すレバーはEクラス同様に備わる。上の穴はトノカバーレールで、新型は斜め上に上がらない仕様になった。

画像2: リアシートを倒すレバーはEクラス同様に備わる。上の穴はトノカバーレールで、新型は斜め上に上がらない仕様になった。

リアシートを倒すレバーはEクラス同様に備わる。上の穴はトノカバーレールで、新型は斜め上に上がらない仕様になった。

開口部周辺、とくにヒンジ周りの処理は5シリーズの方がすっきりしていて見栄えは断然良い。開口部も大きめで、荷物の積み込みはしやすそうだ。

ただし、前述のとおりリアウインドウの独立開閉機構はなくなってしまい、また、トノカバーもテールゲート連動で収納されるものではなくなった。

注目は荷室の大きさだ。比較すると5シリーズは奥行きが短く、幅は若干広そう。高さはほぼ同じである。公表されている容量は5シリーズの通常570〜最大1700Lに対して、Eクラスが通常615〜最大1830Lだ。

この数字、そして後席の着座感から見えてくるのは、5シリーズの方が後席の広さにより多くのスペースを割り振っているということだ。

逆に言えば、Eクラスは「ワゴンは積載性こそ大事」という理念で開発されているのだろう。これは良い悪いではなく、考え方の違いが表れたポイントである。

ディーゼルエンジンはきわめて静か。乗り心地は上質

では走らせたらどうなのか。今回は街中、そして高速道路を中心に乗り換えながら試した。

画像: 新型5シリーズツーリングで唯一の内燃機関はこの523d xDrive。2L直4ディーゼルツインターボ+マイルドハイブリッド仕様となる。

新型5シリーズツーリングで唯一の内燃機関はこの523d xDrive。2L直4ディーゼルツインターボ+マイルドハイブリッド仕様となる。

523dツーリングは、まずなにより静粛性の高さが印象的だ。最高出力197ps、最大トルク400Nmを発生する2L直4ディーゼルツインターボエンジンは振動、騒音がきわめて小さく、ベタな言い方をすればディーゼルとは気づかない人もいそうなほど。

そのうえで車体側の遮音、さらには風切り音、ロードノイズなどの処理も行き届いているようで、室内は常に静かに保たれる。

乗り心地も上質の一言。サスペンションは終始しっとりとした感触で、しかも速度を上げれば姿勢はフラット感が増してくる。

新型では、523dツーリングはリアサスペンションがエアスプリングではなくなっているのだが、そうとは思わせない絶妙なフィーリングを味わうことができる。

一方で気になったのは小回り性だ。切り始めのステアリングホイールの反応は良いのだが、その先が思ったより入っていかない感じ。

実際、最小回転半径は5.8mと、Eクラスの5.4mより大きいのである。試乗車は後輪操舵も含むインテグレーテッドアクティブステアリング付き。もう少し、これを活かしても良いのではないだろうか。

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