2010年9月のパリオートサロンで公開されたプジョー508の国際試乗会が、2011年春、スペイン南部アリカンテで開催された。コンセプトカー「SR1」のデザイン様式に則ったエレガントなスタイリングが話題となっていたが、その走りはどうだったのか。Motor Magazine誌はその国際試乗会に参加しているので、今回はその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2011年5月号より)

しなやかな足が生み出す抜群の乗り心地を見せる

冬でも天候に恵まれることが多い地中海沿いのスペイン南部、アリカンテで開催された国際試乗会でのインプレッションをお伝えしよう。

最初に試乗したのはガソリンの6速MT。156ps/6000rpm、240Nm/1400〜4000rpmを発揮するから、1400kgの508を引っ張るのに十分なパワーとトルクを持っている。滑らかでかつダイレクトなフィールで動くシフトレバーを1速に入れ、クラッチペダルをゆっくり戻し、半クラッチ状態からアクセルペダルを踏み込んでいくと、クルマが一瞬動きそうになったときに電動パーキングブレーキが自動的に解除されてスタートする。クルマを停めてエンジンを切ると、自動的に電動パーキングブレーキがかかる仕組みになっている。ターボなしのモデル以外はMT、ATに関係なく標準装備されるオートパーキングブレーキシステムだ。

100km/hでの6速クルージングではタコメーターの針は2200rpm弱を指している。室内も静かで快適な移動空間だ。最大トルクは1400rpmからだから、100km/hからでもシフトダウンせずにそのままアクセルペダルを踏み込めば楽に加速していく。

市街地やワインディングロードも走ったが、しなやかで非常に良い乗り心地だった。サスペンションのフリクションが小さい感じが伝わってくる。これは乗り心地だけではなくハンドリング性能にも大きく寄与している。しなやかな動きでコーナーでも路面を掴んでへばりつく感じがいい。スキール音も出にくいから、ハイスピードコーナリングをあっさりやってのける。ニュートラル感はセンターの遊びがなくフランス車らしい動き。ターンインのときも狙い通りのラインに乗せるのが楽だ。

2.2LディーゼルのGTというグレードは、407から継承したダブルウイッシュボーンのフロントサスペンションを持つが、これはエンジンが重いからだ。ガソリンも含めて他のエンジンは、ストラットを採用している。ストラットを採用したモデルはエンジンが軽いこともあってハンドリングも軽快である。

プジョーらしいしなやかな脚は長時間乗っていても快適だし、飽きることがない。508はルックスが穏やかになったが、こうした走り味の面ではますます磨きが掛かった感じだ。強豪がひしめくDセグメントの中にあってきちんとプジョーの個性を出していることは評価に値する。

日本では6月に発表、7月から発売されるのはガソリンエンジンだが、近い将来ディーゼルの導入も考えているようだから楽しみだ。(文:こもだきよし)

画像: 質感が大幅に向上した、黒とクローム基調のインパネ。508SWはパノラマルーフが標準となる。

質感が大幅に向上した、黒とクローム基調のインパネ。508SWはパノラマルーフが標準となる。

プジョー508 サルーン 1.6 THP 156 主要諸元

●全長×全幅×全高:4792×1853×1456mm 
●ホイールベース:2817mm 
●車両重量:1400kg 
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1598cc
●最高出力:115kW(156ps)/6000rpm
●最大トルク:240Nm/1400-4000rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:FF
※EU準拠

This article is a sponsored article by
''.