パナメーラも合格点だが、少し気になるところもあった
パナメーラも基本的な印象はカイエンGTSクーペとよく似ていて、正確でインフォメーションが豊富なハンドリング、強固なボディをベースとする優れたロードホールディングとスタビリティなどが強く実感できる。
ナンバープレート上部にも空気の導入口が新たに設けられ、サイドウインドウエリアのデザインは一新された。
メーターディスプレイはナセルレスだが視認性は良好。助手席側ディスプレイ装備車だが表示内容は運転席からは見えない。
353ps/500Nmを発生2.9L V6ツインターボエンジンを搭載。0→100km/h加速は標準車で5.3秒、スポーツクロノパッケージ装着車は5.1秒。
しかも、こちらは重心高の低さを生かして、こうした完成度の高いハンドリングを快適な乗り心地で実現。セダンボディの優位性を明確に印象づけたのである。
V6エンジンはV8ほどの滑らかさは感じられないものの、動力性能の点でいえばこれで十分以上。ワインディングロードでも一切不満を覚えなかった。
一方で「GTSの足まわりはひと味違う」と思わせたのが、波打つような路面のコーナーを抜けて行くときの姿勢変化で、カイエンGTSクーペがそこを何ごともなく通過していったのに対して、パナメーラはボディがロール方向に軽く揺さぶられるような挙動を示したのである。
重心高が高いことを考えればこれは驚異的なことだが、試乗したカイエンGTSクーペにはオプションのポルシェダイナミックシャシーコントロールシステムスポーツ（PDCC）が装備されていたのに対して、パナメーラのスタンダードモデルはオプションでもPDCCを選べないという違いがあるので、ひょっとするとこれが原因かもしれない。
いずれにせよ、ボディ形状に関わらずポルシェらしさが明確に息づいている点はさすがというしかない。つまり、2ドアも4（5）ドアも関係ない。ポルシェはあくまでもポルシェなのである。
【主要諸元 パナメーラ】
●Engine 型式：CSZ 種類：V6DOHCツインターボ 総排気量：2894cc ボア×ストローク：84.5×86.0mm 圧縮比：10.5 最高出力：260kW（353ps）／5400-6700rpm 最大トルク：500Nm（50.9kgm）／1900-4800rpm 燃料・タンク容量：プレミアム・75L モード燃費：9.5-10.4 km／L（WLTPモード） CO2排出量：239-219g／km（WLTPモード） ●Dimension&Weight 全長×全幅×全高：5052×1937×1423mm ホイールベース：2950mm トレッド 前／後：1680／1651mm 車両重量：1380kg 最小回転直径：11.9m 乗車定員：4人 ●Chassis 駆動方式：FR トランスミッション：8速DCT（PDK） ステアリング形式：ラック＆ピニオン サスペンション形式 前：ダブルウイッシュボーン・後：マルチリンク ブレーキ 前／後：Vディスク／Vディスク タイヤサイズ 前：265/45ZR19・後：295/40ZR19 ●Price 車両価格：14,240,000円
【主要諸元 カイエンGTSクーペ】
●Engine 型式：DWH 種類：V8DOHCツインターボ 総排気量：3996cc ボア×ストローク：86.0×86.0mm 圧縮比：9.7 最高出力：368kW（500ps）／6000rpm 最大トルク：660Nm（67.3kgm）／2100-4500rpm 燃料・タンク容量：プレミアム・90L モード燃費：8.8-8.9 km／L（WLTCモード） CO2排出量：260-256g／km（WLTCモード） ●Dimension&Weight 4930×1989×1654mm ホイールベース：2895mm トレッド 前／後：1690／1688mm 車両重量：2220kg 最小回転直径：12.2ｍ 乗車定員：4人 ●Chassis：4WD トランスミッション：8速AT ステアリング形式：ラック＆ピニオン サスペンション形式 前：マルチリンク・後：マルチリンク ブレーキ 前／後：Vディスク／Vディスク タイヤサイズ 前：285／45ZR21・後：315／40ZR21（※） ●Price 車両価格：19,230,000円※試乗車はオプションの22インチホイール装着車のため、タイヤサイズはフロント 285／40ZR22、リア 315／35ZR22。
