電動化モデルが追求べき「進化のお手本」と言えるかも

RZ550e “F SPORT”は、専用モール、スポイラーの装備やエアロカバーを追加したホイールなど、空力性能を磨きぬくことで走行性能や電費性能向上につなげている。

RZ550e “F SPORT”には、専用色の「ニュートリノグレー」を含むモノトーン全5色とバイトーン全4色を設定する。
BEV、HEV、PHEVなど多彩な「電動車」の普及に取り組んできたLEXUSにとって、ブランドとしての新たな価値を象徴する1台になりそうな新型モデルが欧州で発表されました。フルバッテリーEV専用モデル「RZ」はまさに、電動化モデルが秘める「可能性」を象徴するかのような進化を遂げています。
最大のポイントは、何といっても走行性能のグレードアップでしょう。パワートレーン(eAxle)、プラットフォーム、シャシー、インターフェイスに至るまで、主たる改良点だけをざっと挙げても、非常に多彩です。
それらの改良による具体的な恩恵としては、高出力化によるゆとりの向上、航続距離の伸長、充電時間の短縮を実現がまずはトピック。また、新しいステアリングシステムがかつてないドライビング体験をもたらすとともに、電動化技術を活かした四輪駆動制御の特性見直しによってレクサスならではの自然で気持ちの良い走りをさらに洗練させているようです。
新型RZはただラグジュアリー感を高めているだけでなく、「刺激的」という意味での魅力もまた進化を遂げています。中でも、前後モーターの高出力化によって最大システム出力300kW(407.8ps)を手に入れた新グレード「RZ550e “F SPORT”」(以下 F SPORT)は、スポーツ派ユーザーの注目を浴びることになりそうです。
電動化モデルだからこそ「秘めた可能性」を感じさせる新装備

RZ550e “F SPORT”専用としてもっとも目立つインテリア装備が、やはりステアバイワイヤ用ステアリングホイールだろう。マイクロジオメトリックパターンフィルムを使ったオーナメントパネルなど、スポーティ感の演出にも余念がない。

インタラクティブマニュアルドライブのイメージ図。このシステムは、8速の仮想有段ギアを持ち、パドルシフトで疑似的な「変速」を操作することができる。アクセル開度と車速に応じてパワーソースのトルクを算出、選択されたギア比に応じた駆動力を発生させる。この時、エンジンが搭載されているようなサウンドの演出も加えられる。
F SPORTは、フロントロアーバンパーモール、リヤスポイラーなど空力性能向上を狙った独自のエクステリアデザインで、第一印象から差別化を図ったグレード。20インチエアロホイールは、空力デバイスとしてのエアロカバーが設定されました。エッジを際立たせる「ニュートリノグレー」も新たに採用された専用ボディカラーです。
インテリアには、ステアバイワイヤ用ステアリングホイールの設定など、乗り込んだ瞬間に「走り」と「上質感」を印象付けるオリジナルのインターフェイスが与えられています。ドアトリム表皮は、LEXUS初の設定。ウルトラスエードにレーザー加工によるグラフィックが、新しいラグジュアリー感を漂わせます。
同じくLEXUS初となるのが、「ダイナミック陰影イルミネーション」と名付けられた演出です。時間の経過とともに徐々に変化する繊細な陰影柄によって、華やかさの中に心地よい揺らぎをともなう光の模様の動きが提供されています。
高出力モーターに加えF SPORTの専用装備としてひときわ期待値が高まるのが、「インタラクティブマニュアルドライブ」の採用でしょう。加減速におけるシフトを操る高揚感をサウンドによって演出する手法は、ともすれば単調になりがちな電動化モデルのデメリットを補いながら、電動化モデルだからこそ可能な「プラスα」をもたらしてくれるユニークなテクノロジーと言えるでしょう。