「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、トヨタ マークXだ。

FADダンパーは走りと快適性を見事に両立した

画像: プレミアムは走りにダイレクト感があり、ワインディングロードなどでは爽快でキビキビとした動きを示す。

プレミアムは走りにダイレクト感があり、ワインディングロードなどでは爽快でキビキビとした動きを示す。

ワインディングロードを走ってみると、ジワリとストロークを開始しながらもある一定以上には倒れ込むことがない見事な安定性を確保している。また、一連の動きがとてもリニアなので扱いやすい。以前よりもライントレース性も良く、万が一の時の追操舵に対してもしっかりと応答する懐の深さがある。これならスポーティなマークXのキャラに合っているといえる。

ただ、もっとスポーティに走りたいならば、次に試乗した新設の上級グレード「プレミアム」を勧めたい。電子制御によって減衰力を制御するAVS(アダプティブ バリアブル サスペンション)を装備していた250Gに対し、プレミアムはFAD(フリークエンシー アダプティブ ダンピング)を採用している。

このFADは、大きくゆっくりとした路面からの入力に対しては減衰力を引き締め、ゴツゴツとした路面から瞬間的な入力があった際には減衰力を緩めるコントロールを、バルブの動きによって行う。これにより走りにダイレクト感が備わり、ワインディングロードなどを走ると爽快でキビキビとした動きを示す一方、街乗りではしなやかさを実現している。

この両立は、さすがはトップグレードと思える仕上がり。これなら上級モデルで同じプラットフォームを持つクラウンやレクサスISにも匹敵するといえば言い過ぎだろうか。とはいえ、本格的なFRスポーツセダンの走りとは違う。その仕上がりはあくまでFR〝スポーティ〞サルーンといったレベルだ。より本格的な走りをというのであれば、やはりG'sを選択すべきなのだろう。

いずれにしても、マイナーチェンジしたマークXは実物を見て、乗れば、惚れてしまう部分が満載されていることはたしかだ。ネットやカタログで燃費やパワーといった数値を見ただけでは理解できない、走りの楽しさを味わわせてくれる部分が多く存在するからだ。

画像: プレミアムに搭載される3.5LのV6エンジンはD-4S(筒内直接+ポート燃料噴射)を採用して吹け上がりが鋭い。

プレミアムに搭載される3.5LのV6エンジンはD-4S(筒内直接+ポート燃料噴射)を採用して吹け上がりが鋭い。

トヨタ マークX 250G Sパッケージ 主要諸元 ※<>内はプレミアム

●全長×全幅×全高:4750×1795×1435mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:1510kg<1550>
●エンジン:V6 DOHC
●総排気量:2499cc<3456>
●最高出力:149kW(203ps)/6400rpm<243(318)/6400>
●最大トルク:243Nm(24.8kgm)/4800rpm<380(38.7)/4800>
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:レギュラー・71L
●JC08モード燃費:11.8km/L<10.0>
●タイヤサイズ:215/60R16<235/45R18>
●当時の車両価格(税込):299万円<390万円>

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