タイトル写真:ホンダ ステップワゴン e:HEV エアーEX(右)と、ステップワゴン e:HEV スパーダ プレミアムライン ブラックエディション(左)
シンプルデザインという、確固たる個性を持つステップワゴン
日本国内でも有数の市場規模を誇り、2024年度に約28.3万台という販売台数を記録したミドルサイズミニバンのジャンル。去る2022年に大変革が起きていたことは記憶に新しい。古くは1990年代からライバル関係にあった4モデル、トヨタ ノア/ヴォクシー、ホンダ ステップワゴン、そして日産 セレナが揃って同年内にフルモデルチェンジしてミニバン市場を賑わせた。
デザインやパワートレーン、先進運転支援システムや快適装備などさまざまな個性を持って登場した各モデルだが、その中でも同年5月に発売されたホンダ ステップワゴンのスタイリングは新鮮だった。

ホンダ ステップワゴン e:HEV エアーEX。ボディカラーはエアー専用色のフィヨルドミスト・パール。
近年登場したクルマは国産ミニバンに限らず、軽自動車から高級輸入車にいたるまで存在感とブランドとしての個性を高めるため、ひと目でそのモデルだと判別できるようなフロントマスクを与えられていることが多い。システム稼働中はつねに光っているデイタイムランニングライトの形状、クロームメッキパーツの配置、フロントグリルやエンブレムの大型化など手法こそそれぞれ異なるものの、結果として「押しが強いデザイン」を採用するモデルが揃う。そして実際にユーザーからの人気も高いことは販売実績からも見て取れる。
そうした状況の中でフルモデルチェンジしたステップワゴンの、とくにエアーのスタイリングはとにかく「シンプル」のひと言に尽きる。「丸いのはフェンダーラインだけ」と思わせるほど直線的なボディパネルで構成されて、しかもクロームメッキをはじめとする華美な装飾は最小限。それでいて安っぽさはなく、逆に上品さや優しさを感じられる佇まいは最近のミニバン市場にあって新鮮だ。