「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、アウディ S6/S7だ。

高価ではあるが、それ相応以上の価値を感じさせてくれる

画像: ミドルサイズのワゴンがスポーツカー顔負けのパフォーマンスを発揮する、S6アバント。エキゾーストエンドは左右4本出し。

ミドルサイズのワゴンがスポーツカー顔負けのパフォーマンスを発揮する、S6アバント。エキゾーストエンドは左右4本出し。

ハンドリングも素晴らしい。Sモデルらしくやや硬めにセッティングされていることを市街地では感じるが、高速巡航時はかえって心地良い。フラット感は抜群で静粛性も高く、速度感をマヒさせるほどの落ち着きぶりだ。その平穏を保ったまま、アクセルペダルを踏み込むと獰猛なまでに加速する。

ワインディングロードを走ると、車両重量が2トンを超えるクルマが、これほど俊敏に走れるものなのかと感心させられる。クイックなステアリングと、それに遅れることなく一体となってついてくる応答性が気持ち良い。また、前後輪の駆動力の最適な配分に加えて、後輪にはランサーエボリューションのAYCのような左右輪の駆動力配分を制御する機構がつき、それが俊敏かつニュートラルで安定したハンドリングをもたらしてくれる。

S7スポーツバックはスタイリッシュなフォルムと実用性を調律しており、いっぽうのS6アバントは広い荷室と5人が乗れる居住性を確保していることもポイントだ。ランプやバンパーの意匠も異なり、見るからに速そうなS7スポーツバックに対し、S6アバントはやや控えめにも見えるが、走らせると同等のパフォーマンスを発揮する、世界最速級のワゴンである。また、両車とも精悍で上質なインテリアの仕上がりも素晴らしい。

アウディ S6/S7は高価ではあるが、それ相応の価値を感じさせてあまりあるモデルだった。

画像: 本革やカーボンを用いたスポーティかつ上質なS7のインテリア。安全&快適装備も満載。S6も基本デザインは同じ。

本革やカーボンを用いたスポーティかつ上質なS7のインテリア。安全&快適装備も満載。S6も基本デザインは同じ。

アウディ S7スポーツバック<S6アバント> 主要諸元

●全長×全幅×全高:4990×1910×1420mm<4940×1875×1475>
●ホイールベース:2915mm<2910>
●車両重量:2070kg<2060>
●エンジン:V8 DOHCツインターボ
●総排気量:3992cc
●最高出力:309kW(420ps)/5500-6400rpm
●最大トルク:550Nm(56.1kgm)/1400-5200rpm
●トランスミッション:7速DCT(Sトロニック)
●駆動方式:フロント縦置き4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・75L
●JC08モード燃費:9.6km/L
●タイヤサイズ:265/35ZR20<255/35R20>
●当時の車両価格(税込):1224万円<1210万円>

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