クラスを超えた静粛性。隙のない完成度に吃驚

先代に比べさらに静粛性が増し、乗り味もより洗練された。
そんな新しさにつながる最大の要因は、実はその静粛性にある。少し誇張して表現すれば、それはもはや驚愕のレベルだ。少なくとも2代目から3代目くらいまでのゴルフというのは「走りは良いけどウルサイね」といった印象が強く残るモデルだった。しかし、それはもはや過去の話。新型はもはや「ゴルフらしくないほどに静かなゴルフ」と表現してもいいだろう。
今回の試乗車が搭載する140psを発生する新エンジンには、オプション設定の2気筒休止機構(ACT)が組み込まれていた。その動作は、メーターパネル内に現れる「2cylinder mode」の表示で確認できるが、実は耳を凝らすと、それまではなかった新たな低周波音も加わっていた。だがそのボリュームはごくわずかで、けっして静粛性には影響を与えないもの。さらに感心したのがそうしたシーンでもパワーフィールにはまったく変化ないと断言できる状態にあることだ。
加速感やハンドリングの感覚が、全般的に従来型よりも軽快さを増して感じられるのは、けっして錯覚ではないはず。というのも、新型ゴルフはアルミやカーボン素材など、コストアップにつながる材料置換などを伴わずに、最大で100kgに及ぶ大幅な軽量化を実現しているからだ。
そしてオプションの電子制御式可変減衰力ダンパー〝DCC〞が装着されていたこともあってか、そのしなやかな乗り味にも舌を巻いた。しかも、これまでのモデルの美点でもあった安定感の高さや自在なハンドリング感覚にさらに磨きをかけている。電動式パワーステアリングが伝える自然な操舵&保舵感も文句ない。
このように、ちょっと憎らしいくらいにどこにも隙がないというのが、新型ゴルフに対する総合的な評価だ。すでに、どこにも不満などなかった従来型を叩き台に仕上げられた新型は、かくもスーパーなゴルフになっていたのである。

140psを発生する1.4TSI直噴ターボエンジンはACT(アクティブ シリンダーマネージメント=気筒休止システム)付き。
フォルクスワーゲン ゴルフ 1.4TSI(欧州仕様) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4255×1790×1452mm
●ホイールベース:2637mm
●車両重量:1290kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1395cc
●最高出力:103kW(140ps)/4500rpm
●最大トルク:250Nm(25.5kgm)/1500-3500rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・50L
●JC08モード燃費:未発表
●タイヤサイズ:205/55R16