伝説として始まり、革新へと至ったスーパーカーたち。1970年代の懐かしいモデルから現代のハイパースポーツまで紹介していこう。今回は、フェラーリ 512BBだ。

フェラーリ 512BB(FERRARI 512BB:1976〜1984)

フェラーリ365GT/4BBの後継モデルとして、1976年のパリ モーターショーで発表されたのが「512BB」だ。それまでの伝統だった1気筒あたりの排気量による車名表記をやめて、総排気量と気筒数による表記を初めて採用した。すなわち、512とは「5Lの12気筒エンジン」を意味している。

画像: 丸型4灯テールランプ(365GT/4BBは6灯)と4本出しエキゾーストパイプ(同 6本出し)が変更点。エンジンフードのルーバー配置も異なる。

丸型4灯テールランプ(365GT/4BBは6灯)と4本出しエキゾーストパイプ(同 6本出し)が変更点。エンジンフードのルーバー配置も異なる。

エンジンは365GT/4BB同様、180度のV12 DOHCだが排気量を4943ccにアップし、縦置きミッドシップレイアウトは先代を引き継ぐ。9.2:1の圧縮比と4基
のウエーバー製トリプルチョーク 40IF3Cキャブレターを装着し、最高出力は360psを発生。先代より最高出力は20psダウンしたが、最大トルクは2.0kgmアップした46.0kgmとなり、0→400m加速は13.7秒、最高速度は302km/hと公称している。

ボディデザインはピニンファリーナによる365GT/4BBの延長線上にあるため見分けにくいが、一体式フロントスポイラーやリアホイールアーチ前方に設けられた排気系冷却用のNACAダクト、丸型4灯式テールランプや4本出しのエキゾーストパイプなどが識別点になる。

512BBは、365GT/4BBより排気量をアップしてトルク重視としたおかげで格段に滑らかな加速感を持ったことで、セールスでは大成功を収めた。生産台数は929台で、365GT/4BBがトータルで387台だったことを考えると生産効率を高めたことも功を奏したのは明白だ。

ただ年々厳しさを増す北米の排出ガス規制をクリアする必要があり、フェラーリはウエーバー製のキャブレターを諦めてボッシュのKジェトロニック(機械式燃料噴射装置)を採用した。これで排出ガス規制をクリアし、車名も512BBi(iはインジェクションを表す)となった。

1981年のフランクフルト モーターショーで発表された512BBiは、512BBよりも最高出力は20psダウンし、レブリミットも200rpm低くなった。それでも始動性などが良く、最大トルクも46.0kgmと512BBと同様で扱いやすく好評だった。

エクステリアではフロントグリルの両側に独立したポジションランプが採用され、フロントグリルとスポイラーの間にラジエター冷却気を排出するスリットが入れられた。また、それまでの2トーン中心のカラーリングから単色塗装のモデルが中心となった。512BBiは512BBを凌ぐ1007台が1984年までに生産され、次期世界戦略車のテスタロッサに後を託した。

画像: 本革キャビンのまとまりは老舗の手練を見せる。アルミのステアリングスポークがフェラーリの「その気」を表している。

本革キャビンのまとまりは老舗の手練を見せる。アルミのステアリングスポークがフェラーリの「その気」を表している。

フェラーリ 512BB 主要諸元

●全長×全幅×全高:4400×1830×1120mm
●ホイールベース:2500mm
●車両重量:1400kg
●エンジン種類:180度V12 DOHC
●総排気量:4943cc
●最高出力:360ps/6800rpm
●最大トルク:46.0kgm/4600rpm
●燃料・タンク容量:有鉛ハイオク・120L
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●タイヤサイズ:前215/70VR15、後225/70VR15

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