誰にも似ていないプログレは、当時から異端だった

1998年デビュー当時のカタログ。最初の見開きには「プログレは、誰にも似ていない。」の文字が。その説明を読んでいくと、当時、プログレと同じようなコンセプトを持ったクルマは見当たらない、とも書かれている。
さて、ここからはプログレがどんなクルマだったのか、当時のリリースや記事を見てみましょう。
1998年5月に登場したプログレは、「新世代の高級車」をテーマに開発されました。傑出した性能と品質、品位とゆとりの室内空間、そして永続する味わいを日本で普遍的なミディアムクラスのボディサイズに具現化した「小さな高級車」だそうです。
当時のプレスリリースにも「従来のサイズに準拠した性能・品質の序列から一線を画す高級車の新しい基軸を提示するイノベーティブな4ドアセダンである」と書かれています。まさしく昨年登場した「サイズのヒエラルキーを超えたクルマ」LEXUS LBXのコンセプトはこの時すでにトヨタにあったわけですね。
さらに読み進めていくと、このプログレの特徴は「卓越した運動性能やゆとりの室内空間確保に寄与する、ラージクラスに匹敵するロングホイールベース&ビッグキャビンをミディアムサイズで実現した新パッケージに最新技術を結集することで創出した以下4点」だそうです。
以下の4点とは。
①素直な操舵感のFRレイアウトに、ゆとりある動力性能の3Lおよび2.5L直6エンジンを搭載したあくまで静粛で高質な走り
②風格あるたたずまいの新ミディアムフォルムと、本革・本木目の設定や機能性に優れる装備が創る、格調が際立つゆとりある室内
③SRSカーテンシールドエアバッグの世界初採用をはじめアクティブ、パッシブ両面から追求した、新世紀をリードする安全性
④2000年末の新規制に先行した、C0、HC、NOxの全車70%以上の低減をはじめ、CO2、環境負荷物質の削減などエコロジーへの多面的な配慮
FRと直6による上質な走りと室内空間を実現し、さらに当時最先端の安全性や環境性能へ対応したまさに高級車として相応しいモデルでもありますね。
他にもいろいろと調べていくと、特に静粛性に力を入れていたようで、エンジンやサスペンションなど振動や騒音の発生源を抑えるだけでなく、フレーム間の結合やパネル構成、溶接位置にまでこだわり、「自然でまろやかな車内音特性」を実現しているそうです。
さらに吸音材や遮音材はもちろん、車体周囲の空気の流れをスムーズにする外観デザインやAピラーからルーフにかけての一体モールの採用などで、ロードノイズ、エンジンノイズ、風切り音性能は最高級車セルシオと肩を並べるほどだそうです。

ウォールナットパッケージなので、ステアリングホイールと左右のウインカー&ライトレバー、さらにシフトノブがウッドに。オプションの本革シート仕様(シートヒーター付き)で、今見ても高級感に溢れている。
個人的にツボっていたのは、ウォールナットパッケージの設定です。こちらはインパネやドアトリム模様の繋がりまで考慮した本木目を採用し、さらにウインカーレバーとワイパーレバーには無垢材から削り出した本木ノブを使っているそうです。また、ハンドルやシフトレバーノブなど触れることが多い部分には柔らかな本革を採用しているとのことで、内装もかなりのこだわりようです。
そんなプログレを実際に購入しましたが、次回以降はプログレがどんなクルマなのか、また試乗した印象や今後の課題を紹介していきますのでお楽しみに&現在発売中のMotor Magazine 9月号では、プログレと同時期の「ちょいふるセダン」が登場します。併せて御覧ください!(撮影:平野 陽)

Motor Magazine9月号の特別企画「ちょいふるセダンはじめました」では、トヨタプログレをはじめ、BMW 3シリーズ、アルファロメオ156、プジョー406、日産スカイライン、スバルレガシィB4が登場。2000年代のセダンにいま乗ってみるとなにを感じるのか、モータージャーナリスト・渡辺敏史さんが執筆。(写真:平野 陽)