LXが描く、新しいラグジュアリーSUVの未来像
インテリアはLED照明付きの鏡(Robern ブランド)、プライバシースクリーン、衣服ラック、アクリル引き出しなど収納/演出の装備も本格的である。
前席にはネイルバー、後席には美容スタジオ仕様のトレイテーブル、ハローライト(輪郭光)付きの天窓(スカイライト)、全幅で開く鏡など、美容・化粧のための空間が移動中にもしっかり機能するようデザインされている。
さらにホットツール(ヘアアイロンなど)用ホルダーや、電源コンセント、冷蔵化粧品庫、照明付きハンドバッグ収納など、細かな配慮も見逃せない。

グローブボックスにはネイルカラー収納を備え、車内を移動式ビューティーステーションへと変える斬新なアレンジ。

専用ホルダーにドライヤーやヘアアイロンを格納。電源まで備えた美容専用装備は移動中のスタイリングに最適。
ただしこれはあくまでコンセプトモデルであり、「特別プロジェクト車両」であることから、公道での合法性、保証、安全性などには制限があることが明示されている。
このように、LXは単に「大きくて豪華なSUV」というだけでなく、ステータス性を持ちながら用途によっては本気のSUV性能を求められる層にも応える仕上がりになっている。GLAM LXはそのLXをキャンバスに、移動とセルフイメージをつなぐ究極の“舞台装置”として再構築したものだ。
なぜGLAM LXなのか~レクサスのブランド戦略としての新たな意義~
GLAM LXは単なるショーモデル、または見世物車で終わらない可能性を秘めている。レクサス自身が「新しい章(latest chapter)」と位置づけ、「快適性とクラフトマンシップを越えて、顧客の情熱と自己表現(self-expression)をつなぐもの」であると明言している。
言い換えれば、モノとしての車、移動の手段という枠から、使う側のライフスタイルや自己ブランドを演出するツールへと豹変させているわけだ。

フロントグリルの「L(レクサスエンブレム)」は、ピンクを基調としたクリスタルで装飾。唯一無二の存在感を放つデザインとしている。
ファッションや美容の世界とSUVを交差させることで、これまでLXを好む層に加えて、より若年あるいはSNS/ビジュアル消費に敏感な顧客層にもアピールしようとしている。
また、こうしたコンセプトはブランドイメージの強化にも繋がる。ラグジュアリーモデルにおいては、単なる性能競争だけでなく「見られること」「映えること」「使っていて語れること」が重要であり、GLAM LXはその点で強いインパクトを残す。

コットンやスポンジ、メイク用品を収納する専用ボックスを備え、後席を本格的なビューティスイートに変貌させる。
ただし、このモデルがそのまま市販されるわけではないし、非純正部品の多用や法的・機能的な制約を抱えているのも事実である。
とはいえ、GLAM LXが示したヴィジョンは、ラグジュアリーなSUVがこれからどこへ向かおうとしているかを明快に示すもので、LXの今後の展開を占ううえで見逃せない一手となるだろう。

リアゲートのロゴにはクリスタル装飾を施し、ブランドアイコンを強調する特別な演出が光る。