41年ぶりに「テスタロッサ」の名称が復活!
イタリア語で「赤い頭」を意味する「テスタロッサ」の名が、フェラーリのラインナップに復活した。そもそもは1955年にマラネッロで、ある整備士が余った赤い塗料を高性能なエンジンに塗ったことが始まりと言われているが、その初代である500TR、1958年の250TR、そして1984年に登場したスーパースポーツカー「テスタロッサ」と、フェラーリのレーシング レガシーに根ざした象徴的な車名として継承されている。なお、今回の849(イタリア語では「オット クワットロ ノーヴェ」と読む)テスタロッサの849とは、8気筒エンジンで1気筒あたり499ccの排気量を意味している。

テスタロッサの象徴、赤いヘッドカバーのV8ツインターボエンジンに3モーターを組み合わせたプラグインハイブリッド。
849テスタロッサは、SF90ストラダーレの後継モデルとなる、プラグインハイブリッド車だ。830psを発生する4L(正確には3990cc)のV8ツインターボエンジンに、前2基/後1基で計220psを発生する3基の電気モーター、高電圧バッテリー、インバーターで構成されるシステムは、総合出力で1050psを発生。これはフェラーリのプロダクションモデルでは最高数値となる。乾燥パワーウエイトレシオは、1.5kg/ps!に達する。また、フル充電状態なら、モーターだけで25kmの走行が可能だ。
デザインを担当したのは、フラヴィオ・マンゾーニ率いるフェラーリ スタイリングセンターだ。そのスタイリングは、SF90ストラダーレの正常進化版ともいえる。そこに垂直方法と水平方向のラインを組み込み、1970年代のスポーツプロトタイプ「512S」をインスパイアしている。
フロントは1980年代のフェラーリを彷彿とさせ、横に伸びるカバーがヘッドライトを繋ぎ、12チリンドリやF80で使われたデザインテーマと似ている。ボディサイドでは、立体的なデザインのドアが特徴的で、上部はエアダクトを兼ね、黒いバンドは512Sのイメージを踏襲している。リアも512Sをインスパイアしたツインテールが特徴的で、ここに可動ウイングが組み込まれている。
冷却性能の最適化とダウンフォースの増強を主な目標に据えてエアロダイナミクスを追求した結果、車速が250km/hでの総ダウンフォースは415kgと、SF90ストラダーレより25kg増加した。しかも、冷却性能は15%も向上している。前述のドア形状などで車体側面のフォルムを最適化して、インタークーラーに入る空気の量を30%増やしている。

立体的なデザインのドアが特徴的なサイドビュー。ドアの上部はエアダクトを兼ね、黒いバンドは512Sのイメージを踏襲している。