ベース車のフルモデルチェンジで登場したエボリューションⅣ

グリル一体型のフロントバンパーデザインで一番目立つのは、大型フォグランプ装着を前提とした形状。GSRはPIAA製のフォグランプを標準装備。空力デバイスの効果で高速走行時の安定性も優れる。
ランサーエボリューションはエボリューションIからエボリューションⅢまでで第一世代としては完成を見た。特にエボリューションⅢでは、トミ・マキネンがWRCでの念願のチャンピオンタイトルも取った。こうしたエボリューションシリーズの成功は三菱自動車にとって嬉しい半面、さらに新しいエボリューションを重ねていく宿命が課されたともいえる。
エボリューションⅢからエボリューションⅣへのタイミングでランサーシリーズのフルモデルチェンジもあり、エボリューションⅣではベース車両が新しくなった。同じなのは4G63型のパワーユニットとフロントがストラット、リアがマルチリンクのサスペンション形式だけと言っていい。特にAYC(アクティブ・ヨー・コントロールシステム)というリアデフのトルク移動システムが装着されたのもエポックメイキングだった。順に見ていこう。

高い位置に装着されたリアスポイラーの下に三角錐のような形状のエアロパーツ。デルタ型ウイッカーを装備。走行時には強力なダウンフォースが生み出される。
パワーユニットの4G63型+インタークーラーターボは、ツインスクロールターボ、鍛造ピストン、エンジンブロック、シリンダーヘッド、カムシャフトなどに手が加えられ、エボリューションⅢからさらに10㎰アップされ、280ps発生するに至った。パワーユニット(シリンダーブロック)の搭載方向が180度転換されたのも大きな変更点だ。エボⅢまではドライバーから見て左側にエンジン、右側にトランスミッションがあった。これはギャランVR-4と同じだ。
ランサーエボリューションは、ランサーのコンパクトなボディに、ギャランVR-4のパワートレインを載せるという発想から誕生したものだったので、仕方がなかったともいえるが、これではコンベンショナルなエンジン右置き、トランスミッション左置きとは逆向きになる。
そのためエボリューションⅢまでのエンジンの搭載方向ではトランスミッションケース内をメインシャフト、カウンターシャフトに加えトランスファー/デフ用の3軸にして、エンジンの回転方向を矯正していた。しかし、この変更でトランスミッションケース内はメインシャフト、カウンターシャフトの2軸式にすることができた。これにより部品点数も減り、軽量化もできるというのはメリットであり、より合理性を追求したといえる。