すべての面で準備万端の仕上がり

エボリューションVは、IVと比較してフロントトレッドは40mm、リアトレッドは35mm拡大して、コーナリング時の安定性を上げている。
エボリューションIVは、第二期ランサーエボリューションということで、ファンの反応が気になるところだったが、人気ということでは上々の結果となった。WRCでの活躍という面でも十分な実績を残した。WRカーを向こうにまわして市販車ベースのグループAでチャンピオンを取ったということで、ランエボファンも溜飲を下げたのだ。
一方、国内のモータースポーツでは、チューニングの遅れからエボリューションIIIに遅れをとることも多かった。そんな中で1998年に登場したランサーエボリューションVは、国内のモータースポーツ参加者にも、「やはりランエボでなければ」という評価を取り戻したクルマといえる。
変更点をパワーユニットから見ていこう。4G63型+インタークーラーターボエンジンは、ツインスクロールターボチャージャーのノズル面積が拡大され、より効率的に過給できるようになっていた。それにともないターボチャージャーで圧縮され高温となった吸気を冷却するために、今までよりも大容量のインタークーラーを採用する対策も行われた。

4G63型+インタークーラーターボエンジンは、ツインスクロールターボの改良や、16ビットECU採用により280ps/6000rpmは変わらないものの、最大トルクが2kgmアップしている。
エンジン内部にも手が加えられている。具体的にはピストンの軽量化、そしてラジエター及びオイルクーラーの大型化などが図られ、カタログ上の最高出力は280ps/6500rpmとエボリューションIVと変わらないものの、最大トルク38.0㎏m /3000rpmとなり、エボリューションIV比べ2.0㎏mトルクが向上した。さらに低回転域から扱いやすいエンジン特性になったのだ。
エンジンに合わせてトランスミッションギアレシオの見直しも行われ、よりエンジン出力に見合ったクロスレシオとなった。GSRとRSでトランスミッションのギアレシオを分け、RSではファイナルギアをハイギアードとローギアードのどちらか一方を選べるようにした。トランスミッション関係では、ギアレシオ変更のみならずシフトリンケージの剛性をあげて、ダイレクト感のあるシフトフィーリングに改善されている。さらにシフトノブも小型化された。