2011年9月、8代目となるトヨタ カムリ(初代セリカカムリから数えると9代目)が日本国内デビューを飾った。メインターゲットが北米を中心とした海外市場に移る一方で、セダン市場が縮小傾向にあった日本国内で、この8代目カムリはどう評価されたのか。今回は9代目カムリのデビュー間もなく行われた国内試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2011年12月号より)

日本仕様のパワートレーンはハイブリッドシステムのみ

新型カムリのプレスインフォメーションには「高級感と存在感あふれるセダンスタイル」「全車ハイブリッドによる圧倒的な燃費・動力性能」「クラス最高レベルの静粛性と安全性能」「上質で広々としたインテリアと快適装備」と、トヨタカローラ店のフラッグシップモデルにふさわしい特徴が明確に記されている。先代カムリとホイールベース2775mmは同一。全長は+10mmで、全幅は+5mmなので、ボディサイズはほとんど同じと考えていい。ただ室内の居住性は高められていて、前席の位置を7mm前出しすると同時に後席を8mm後方に配置、前後席間の距離を15mm伸ばすとともに、前席シートバックを薄型化して後席の足元空間が拡大されている。

日本仕様のパワートレーンはハイブリッドシステムのみ。新開発の2AR-FXE型2.5L直列4気筒エンジンとモーターの組み合わせでシステム最高出力151kW(205ps)を発揮。3Lクラス級の余裕ある動力性能を備えながら10・15モード走行燃費は26.5km/L、JC08モード走行燃費で23.4km/Lを実現している。当然、実走時の数値はもっと低くなるが、このサイズのセダンが両走行モードで軽く20km/Lを超える値を実現しているというのは大きな特徴だ。

試乗は東京のお台場を起点としたもので、2時間弱と限られていたが、この乗り味は相当にいい。試乗車は本革シート表皮や215/55R17サイズのタイヤ&アルミホイール、HDDナビゲーションシステムなどを標準装備する“レザーパッケージ”仕様で車両価格は380万円。

画像: トヨタ車らしいデザインでまとめられたエクステリア。トヨタカローラ店のフラッグシップモデルとなる。

トヨタ車らしいデザインでまとめられたエクステリア。トヨタカローラ店のフラッグシップモデルとなる。

グローバルモデルとして高い人気を誇るだけある好内容

まずフロントシートの着座感がしっくりときた。シートバックと座面が腰から太腿の裏側にかけての部分をうまく支えてくれる感触があり、安心して運転することができる。 

それから、ハンドルの操作感が自然だと思えた。コラム部分にモーターを備える電動パワーステアリング機構を採用するが、センター付近での不用意な軽さもさほど目立たないし、切ったり戻したりした時のアシスト力の制御も巧みになった感覚で、トヨタ車のハイブリッドモデルとしてはこれまでで一番好感が持てるもの。

そしてパワートレーンが力強い。燃費を重視したエコドライブモードも選べるが、通常モードでアクセルペダルを普通に踏み込むと、そのしっかりした加速力には驚かされる。また減速時のフィーリングが「普通」のクルマのように思えたのも熟成を感じさせる。ハイブリッドカーでは、制動時に回生ブレーキから油圧ブレーキへ切り替わるポイントあたりでどうしても違和感を覚えてしまうものが多いが、カムリはそのあたりのコントロールが自然な印象になった。

インテリアは、乗り込んだ瞬間に「あ、プリウスとはクラスが違うな」と思わせる、大人っぽさを備えたデザインでまとめられている。

1982年に新しく世界戦略車としての使命を得たFFモデル“カムリ”として登場以来、カムリはグローバルモデルとして高い人気を得た。年間90万台もの販売台数を誇り、累計販売台数はすでに1400万台を超える。最大のマーケットは、2002年から9年連続で乗用車ベストセラーカーのポジションを得ている北米市場で全体の52%を占める。中国市場22%、中東市場11%と続き、アジア市場は6%、オーストラリア市場が5%、ロシア市場は3%。ちなみに日本市場のシェアは残りの1%の中に含まれるという。

お台場から都心の北の丸にある日本武道館まで、行きは渋滞なしの首都高速、帰りは信号待ちや道路工事に巻き込まれながらの一般道という約30kmをエアコン入れてごく普通に走り、所要時間およそ50分でカムリのドライブコンピュータが示した燃費値は15.6km/L。その快適さを考えれば、これは十分な値だと思えた。(文:Motor Magazine編集部 香高和仁)

画像: メーターパネルは左からハイブリッドシステムインジケーター/速度計/平均燃費計&瞬間燃費計。

メーターパネルは左からハイブリッドシステムインジケーター/速度計/平均燃費計&瞬間燃費計。

画像: 新開発の2AR-FXE型2.5L直列4気筒エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドパワーユニット。1550kgに抑えられた車重と新型ハイブリッドシステムが生む運転感覚はスムーズかつ力強い。

新開発の2AR-FXE型2.5L直列4気筒エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドパワーユニット。1550kgに抑えられた車重と新型ハイブリッドシステムが生む運転感覚はスムーズかつ力強い。

トヨタ カムリ ハイブリッド“ レザーパッケージ” 主要諸元

●全長×全幅×全高:4825×1825×1470mm 
●ホイールベース:2775mm 
●車両重量:1550kg
●エンジン:直4DOHC+モーター
●排気量:2493cc
●最高出力:118kW(160ps)/5700rpm
●最大トルク:213Nm(21.7kgm)/4500rpm 
●モーター最大トルク:105kW(143ps) 
●モーター最高出力:270Nm(27.5kgm)
●システム最高出力:151kW(205ps) 
●トランスミッション:電気式無段変速機 
●駆動方式:FF
●10・15モード走行燃費:26.5km/L
●JC08モード走行燃費:23.4km/L
●車両価格(税込):380万円(2011年当時)

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