モーターマガジンムック「ランサーエボリューションChronicle」が現在モーターマガジン社より発売中だ。ハイパワー4WD車の代表として多くのファンから支持されてきたランサーエボリューション。その変遷を詳細に解説した内容が好評を博している。ここでは、連載最終回としてベース車がギャランフォルティスになり、パワーユニット、シャシともに一新したエボリューションⅩについて解説しよう。

駆動系はS-AWCであらゆる路面コンディションに対応する

駆動系を見ていくとGSRには三菱自動車独自の車両運動統合制御システム「S-AWC(スーパーオールホイールコントロール)」が標準装備された。これは従来のランサーエボリューションシリーズに搭載されたACD、AYC、スポーツABSに新たにアクティブスタビリティコントロール(ASC)を追加したもので、エボリューションXの駆動系において最も注目される部分だ。エボリューションXでは新たにヨーレートセンサーを用いたヨーレートフィードバック制御を採用し、車両旋回運動の的確な判断を可能にした。さらにブレーキ制御も追加することでドライバーの操作により忠実な車両挙動を実現した。これはエボリューションIVで初めて採用されて以来大きく進化を遂げている。

画像: エンジンは4B11型になった。シリンダーヘッドには吸排気ともにMIVECが搭載され、前方吸気、後方排気レイアウトだ。

エンジンは4B11型になった。シリンダーヘッドには吸排気ともにMIVECが搭載され、前方吸気、後方排気レイアウトだ。

ブレーキ系としてスポーツABSも加わる。これは急ブレーキや滑りやすい路面でのブレーキ時に車輪のロックを防止し、安定性・操舵性・制動力を維持するシステムだ。新たにヨーレートセンサーやブレーキ圧センサーの情報を活用することで旋回中の制御性能を向上させた。ASCは各車輪のブレーキ力やエンジン出力を制御して車両姿勢を安定させながら駆動力を確保するシステムだ。緊急回避時などの急なハンドル操作で生じる車両の横滑りを抑制し走行安定性を確保するとともに、滑りやすい路面などで発生する駆動輪の空転を防止して加速時の駆動性能を向上させる。

エボリューションⅩには、3つの制御モードが設定されているがそれぞれを見ていくと、TARMAC(ターマック)は乾いた舗装路を想定したモードで一般的な走行に適したものだ。そしてGRAVEL(グラベル)は濡れた路面や未舗装路を想定したモードで、SNOW(スノー)は雪道を想定したモードとなる。この2モードは4WDの能力の見せどころとなる。このように路面状況に応じて各モードを選択することでより安定した走行を可能にした。

画像: ツインクラッチSSTの本体。奇数段、偶数段のギアが、プリセレクトされることにより、素早いシフトチェンジが可能になっている。

ツインクラッチSSTの本体。奇数段、偶数段のギアが、プリセレクトされることにより、素早いシフトチェンジが可能になっている。

サスペンションはフロントがストラット式、リアがマルチリンク式をベースに、ワイドトレッド化を含めサスペンション布局を一新した。さらにエボリューションXに合わせてサスペンションジオメトリーの最適化、各部品の取り付け部の高剛性化が図られている。これは車重の増加も考慮すれば必須の改良と言える。これらにより4輪を確実に接地させ、S-AWCの性能を最大限に発揮させるとともに、旋回性能、直進安定性、乗り心地を向上させた。ロングホイールベース化、ワイドトレッド化で居住空間のゆとりだけでなく走行安定性と乗り心地も向上した。さらに低重心化やエンジンの軽量化、フロントオーバーハングの短縮(エボリューションIX MR比マイナ20mm)、先述したバッテリーのトランクルームへの移設などによる前後重量配分の改良でハンドリングの基本性能を高めた。

ボディ剛性に関してはエボリューションIX MRに比べ曲げ剛性で約60%増、ねじり剛性で約40%増と向上させた。これにより優れた操縦安定性や衝突安全性とともに、乗り心地、騒音・振動の低減を図った。また軽量化を目的に各所にアルミ素材が使用されているのも特徴だ。具体的にはエンジンフード、フロントフェンダー、リアスポイラー(骨格部)などだ。

画像: GSRにはエンケイ社製の18インチアルミホイールを採用。タイヤサイズは245/40R18というワイドなサイズとなった。

GSRにはエンケイ社製の18インチアルミホイールを採用。タイヤサイズは245/40R18というワイドなサイズとなった。

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